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2008.04.18

「2009年問題」は、2008年に解消を!

 近年の日雇派遣労働者に係る労働者派遣法等の法令違反の増加及び雇用の不安定化に伴い、違法派遣一掃の取締りが強化されてきました。それは、今年4月1日から完全施行された「改正省令(平成20年厚生労働省令第14号)」「日雇派遣指針(同年同省告示第36号)」「改正派遣元指針(同年同省告示第37号)」に加え、「日雇派遣労働者に係る労働者派遣事業の適正化に向けた取組の一層の強化について(平成20年2月28日。同省職業安定局通達)」が実施されたからです。当該通達の取組み強化内容は、「緊急違法派遣一掃プラン」※1)として公表されています。

 上記省令・各指針等に関する事項は、当ブログの各エントリー(下記参考をご参照)に掲載しておりますので詳細は譲りますが、日雇派遣のみならず、昨年来からの労働者派遣法で禁止された業務への派遣や二重派遣等の違反行為も、連続して発生しているのは否めない事実です。

 実際の法違反(平成18年文書指導件数:厚生労働省資料)を類型別にみると、派遣元事業主では、①派遣契約の内容等、②就業条件の明示、③派遣元管理台帳の順で違反指摘が多い結果となっています。また、派遣先については、派遣元事業主と同様、①派遣契約の内容等、②派遣先管理台帳、③期間制限抵触日の通知※2)という順の違反指摘です。一方、請負事業主については、①派遣契約の内容等、②派遣と請負の区分基準の順です。また、発注者は、①派遣と請負の区分基準、②派遣契約の内容等の順です。これらの違反のうち、派遣先の違反で、期間制限抵触日の通知が挙げられていますが、これは派遣元事業主にも係る責任(派遣開始前の抵触日の通知)の一つです。また、期間制限という観点から加えると、2006年3月1日以降に開始した物の製造業務(一部を除く特定製造業務)の延長雇用期限である2009年2月28日を迎えるにあたり、来年3月1日以降の同違反件数の増加が心配されるところです。

 違法事案の発覚経路は、派遣の指導監督を実施する都道府県労働局の情報入手によるもので、①派遣労働者・派遣元事業主・派遣先からの苦情相談、②派遣労働者からの申告、③労働基準監督署等関係機関からの情報提供、の3つに大別(多件数順)されています。それは反面、当局に情報提供がなされた結果であり、労働者派遣に係る事業主等は、万一違法な現状が存在するならば、一時も放置しておくことはできません。

現在、労働者派遣法の改正は今秋と目されていますが、単に法改正による規制緩和を期待する前に、とくに、製造業界における「2009年問題」を踏まえるならば、駆け込み対応は当局による厳しいチェックが入ると予測されるので、冒頭に記載の取締まり強化等を契機に、残されたこの2008年にこそ問題解決しておくことが望ましいのではないかと考えられます。                  参考:当「人事総務部」ブログエントリー「製造業界における2009年問題」、「労働者派遣法施行規則改正の概要」、「労働者派遣とコンプライアンス」、※2)「抵触日の通知義務」及び※1)「緊急違法派遣一掃プラン」ご参照。「平成20年度雇用施策実施方針の策定に関する指針(平成20年厚生労働省告示第189号)」及び「第2回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会議事録(平成20年2月29日)」厚生労働省。