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2008.05.22

製造業務派遣の抵触日対応

 製造業務への派遣は、所謂、労働者派遣法※1)が1985年(昭和60年)に制定されて以来、2003年(平成15年法律第82号)の公布に至るまでの18年間解禁されませんでしたが、2004年(平成16年)3月1日の改正法施行により、「物の製造の業務」※2)への労働者派遣が可能になりました。物の製造業務の派遣期間(平成19年2月末までの間は1年間が受入限度)の経過措置はすでに終了し、平成19年3月からは、過半数の労働者を代表する者からの意見聴取を行うことを要件に、最長3年間の受入れが可能になったという経緯です。
 当ブログエントリーでご紹介のとおり、「製造業界における2009年問題」を来年に控えていますが、この問題に絡み、製造業務派遣の抵触日対応が重要となるのです。即ち、物の製造の業務に係る派遣労働者の受入れが、平成18年3月以降に開始されるものである場合は、「一定の手続き」を経ることによって契約更新等が可能なので、当初受入時点から最長3年間という派遣期間を満たすと、平成21年3月1日にその雇用期限を迎えることになるのです。この受入が認められる「一定の手続き」とは、①派遣先事業所の労働者の過半数を組織する労働組合(組合が無い場合は、労働者の過半数を代表する者)から意見聴取を行ったうえで、労働者派遣を受入れようとする期間を定めること。②派遣元事業主に対し、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日を通知すること。③1年を超えることとなる期間に係る労働者派遣契約を締結し、又は労働者派遣契約を変更することです。
 前記の雇用期限に係る対応が難しいと判断し、やむを得ず、一時的にあるいは一部を期間社員等へ移行したりする企業が現実に存在していますが、3ヶ月間のクーリング期間を設けた派遣再契約を約されたとしても、派遣労働者の当該期間の生活が困難となる等の現実問題が発生することになり、派遣労働者の立場から言えば待機はできません。たとえ、再派遣契約でなく直雇用を約されていたとしても、クーリング後に再度、派遣会社に戻されるという対応は最悪のパターンであり、単なる脱法行為に過ぎないと言っても過言ではありません。労働者保護の観点からも、この「クーリング逃れ」は、人道上許される行為ではありません。また、「雇い止め」の通告等を実施すれば、企業は窮地に追い込まれる場合も想定され、自己の首を絞めることにもなりかねません。
 こうした切実かつ逼迫した問題に直面している当年内にこそ、派遣事業主は解決に臨むべきで、安閑としてはいられません。よって、結論としては、当該派遣労働者を「直接雇用する」、あるいは、「適正に請負化する」のいずれかを選択すべきであり、それがひいては、相互繁栄の源と考えます。
※1)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年7月5日法律第88号。昭和61年7月1日施行)」。
※2)製造業務:物を溶融、鋳造、加工、又は組み立て、塗装する業務、製造用機械の操作の業務及びこれらと密接不可分の付随業務として複数の加工・組立て業務を結ぶ場合の運搬、選別、洗浄等の業務をいう※3)。
参考:※3)「労働者派遣事業関係業務取扱要領(最終改正:平成20年2月28日)」厚生労働省。「派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(日本人材派遣協会編著)」社)財形福祉協会。「混成職場の人事管理と法律知識Q&A(産労総合研究所編)」経営書院。