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2008.09.22

外国人労働力確保と受入れ態勢の整備を

◆50年後の推計人口は約9,000万人
 わが国の総人口(推計人口)は1億2,777万1千人(2007年10月1日現在)で、前年比は横バイですが、出生児数が死亡者数を下回り、自然減少に転じています。反面、外国人の入国超過数は日本人の出国超過数を上回り、社会増加となっているのが現実です。そして、わが国の将来推計人口(2006年12月推計中位推計:国立社会保障・人口問題研究所)は、2030年に1億1,522万人、2055年には8,993万人と、約50年後には2007年比で7割まで減少すると推計されています。
◆「移民立国」政策提言
 この推計人口に基づき、人口減の中で経済成長の確保を目的として、「移民立国」の政策提言(外国人材交流推進議員連盟会長:中川秀直元幹事長)がマスコミ報道(6/20)されました。端的に言うと、今後50年間で1千万人の移民を受け入れるという目標を掲げた構想で、「移民基本法」、・「民族差別禁止法」の制定や「移民庁」を創設し、「移民立国」への転換の必要性を強調し、多文化共生により活性化を図るというものです。唐突に50年後と言われても実感が無いと思いますが、現在、少子高齢社会の只中にいる「第2次ベビーブーム層」が80歳代前半に突入した頃に当ります。当該提言は、「永住移民」を想定したものですが、今後、国会での検討に委ねれられます。
◆「生産年齢人口」の減少に対応
 この提言の背景には、当ブログ記事(9/16日付)でご紹介のとおり、わが国の外国人労働者労働者数が33万8,813人(速報値:2008年6月末現在。対2006年調査比52.0増)、うち、主に労働者派遣・請負業を行う事業所で就労者数は12万601人(占率35.6%)を占めるまで増加しているという現実があります。当初方針の陣容計画には大幅遅れですが、8月始めの「EPA(経済連携協定)」に基づくインドネシアの看護師・介護福祉士候補者の受入れ(合計:208人)然りで、50年後を待つまでもなく、生産年齢人口(15~64歳)の減少が懸念され、将来の労働力確保のためには、外国人労働力に依存せざるを得ない現実が待っているのは明らかなのです。
◆現行は「外国人研修・技能実習制度」
 前掲のインドネシアの実習候補者は、半年間の日本語研修後、来日前に雇用契約を結んだ全国の各医療機関で就労の予定ですが、当面の目標は、就労しながら日本の国家試験合格を目指さなければ即帰国を強いられるという厳しい条件付です。外国人就労については、現行「外国人研修・技能実習制度(1993年)」により、国際研修協力機構(JITCO)を窓口として、アジア地域を中心に研修が受け入れられ、約9万2,800人(法務省統計)に達しています。ただ、これまでの外国人労働者の受入れで、募集時の条件と入国後の実態の乖離を廻るトラブルや、人権侵害等、単純労働力として扱っているのが実態の為、「研修・技能実習制度研究会(座長:今野浩一郎学習院大学教授)」で制度内容の見直しが検討されているところです。
◆受入期間延長と社会保険の整備を
 現行制度の見直しについては、自民党国家戦略本部の外国人労働問題PT(座長:長勢甚遠元法相)が、「外国人労働者短期就労制度」の創設を提言(7/25)しました。在留資格として短期就労資格(期間は最大3年)を新設し、再入国は認めない等というPT案です。しかし、わが国で外国人就労上難しいのは、前掲のインドネシア実習候補者然りで、日本語の短期習得は、我々が英語をマスターする以上に大きな負担になっていると考えられますので、実習期間を含めて5年間の研修期間が必要と考えます。そして、わが国における外国人労働力確保が低賃金労働の温床とならないよう、研修期間の延長と共に、年金・社会保険等の充実と併せた受入態勢の整備が肝要ではないかと考えられます。
参考:「平成19年10月1日現在推計人口(平成20年4月15日)」総務省統計局公表資料。平成20年6月13日付厚生労働省公表資料。日本経済新聞記事。