2014.09.27
★文化庁が『国語に関する世論調査』結果を公表しました
◆「国語に関する世論調査」結果が公表
先日、文化庁は、『平成25年度「国語に関する世論調査」の結果』※1)を公表(2014/9/24日付)しました。当該調査は、平成7年度から毎年実施されているということですが、私たちの実生活に密接した内容であるだけに、改めて参考に値する(失礼、上から目線?)のでは、との気持ちになった次第です。
◆「~る」「~する」形の動詞
とりわけ関心を持った項目は、「~る」「~する」形の動詞について、《「~る」「~する」の言い方を聞いたことがあるか、また使うことがあるか》との問いで、次の「10の事例」が挙げられています。
【事例の動詞】
(1)愚痴る、(2)事故る、(3)告る、(4)きょどる、(5)サボる、(6)パニクる、(7)タクる、(8)ディスる、(9)チンする、(10)お茶する、です。因みに、同資料によれば、上記(4)「きょどる」は、「挙動不審な態度をする」、(7)「タクる」は、「タクシーに乗る」、(8)「ディスる」は、「けなす、否定する」という意味、です。そこで、これらの動詞を使用し、“活用事例”をご紹介します。下記文中の「(カッコ)」書きは、前記の事例動詞です。
◆活用事例:「地下鉄名古屋駅の冠水」に関して
先日、「台風16号」が温帯低気圧に変わった後、9月25日の未明、名古屋に大雨(30ミリメートル弱/h。am3~4時)が降りました。台風崩れのせいなのか、「記録的短時間大雨(基準100ミリメートル/h:名古屋地方気象台)」でなかったのは救いでした。
●“浸水した市営地下鉄「名古屋駅」”
さて、現在、名古屋駅前では再開発事業が進行していますが、名駅に隣接する建築中の高層ビル『JPタワー名古屋』の工事現場で下水道から雨水が漏れ、換気用排気管を通じて名古屋市営地下鉄(東山線)「名古屋駅」構内に流れ込み、浸水したという事態を招いたのです。
●「パニクる」人々
その結果、25日朝の通勤・通学者は、市営地下鉄の主要路線の長時間(約9時間)に亘る一部区間の運休に(6)「パニクり」、急遽、(7)「タクら」なければならなくなった人もあり、名駅前のタクシー乗り場は長蛇の列となったのです。《約15万人に影響が出ました》との報道ですが、平日の朝、名古屋駅を経由する人々は、名古屋市民に限定された訳でなく、また、地下鉄に乗降する市民だけとも限らないのです。JRはじめ、各私鉄と合わせ、少なくとも「5路線」の駅が集中する名古屋駅の1日の平均乗降客数は「約115万人(2008年)」にも上るのです。
●“大都会の脆弱さ”を露呈
いずれにしても、通勤を急ぐサラリーマンや通学途中の生徒・学生等は、個々に交通手段を考え、心の中ではこの有り様に対して、ひたすら(1)「愚痴る」しかなかったのではないでしょうか。この事態に遭遇して(2)「事故る」ことがなかったのは、不幸中の幸いと言えるのかもしれませんが、迷惑を被った人々にとっては、何の気休めにもなりません。交通パニックの為、どこかで(10)「お茶する」とか、いっそのこと学校や会社に行くのを(5)「サボろ」うかと考える余裕もなく、そういう人は皆無だったと筆者は信じています。そして、今更ながら、再開発事業を(8)「ディスる」訳でもなく、当該高層ビルの建設工事現場から漏水させた大手ゼネコンの「社長の陳謝」に対し、被害者の皆さんの気持ちを代弁すれば、「今回の個人の損害負担をどのように責任とってくれるのか?」ということでしょうか。そして、この程度の大雨で地下鉄駅が浸水するようでは、市民としては、今後の再開発工事が心配でなりません。河村たかし名古屋市長が苦言を呈されたとおりです。“大都会の脆弱さ”を露呈した1日だったように思います。
【資料】※1)文化庁公表資料