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2008.05.01

請負推進の重要ポイント (請負シリーズ5)

◆「請負」は独自の事業形態 
 物の製造業務については、これまで労働者派遣が認められなかったため、請負事業で行われてきましたが、労働者派遣法の改正(2004年)以降、緩和されてきました※1)。しかし、請負の事業形態は、労働者派遣事業とは内容を異にしていますので、その区分を明確にする必要があるのです。
◆「区分基準」を満たすのは最低条件 
 請負において最も重要な点は、「注文者と労働者との間に指揮命令関係を生じない」点です。これまでは、構内外注等という形態でアウトソーシングが図られてきましたが、実態として明確に判断されるには難しい点もあります。請負について、当「人事総務部」ブログエントリー「『告示第37号』は、請負の目安に過ぎません(請負シリーズ2)」※2)で述べた本意は、請負を規定する単独の法律が無く、民法(第632条~第642)と職業安定法施行規則(第4条第1項等)に特定されていますので、この「告示第37号」※3)こそが、労働者派遣と請負を明確にする「区分基準」たり得るものであり、この基準を満たすことが最低条件であると申し上げた訳です。この「区分」が明確になれば、請負は、ほぼ9割は完成していると言っても過言ではありません。「区分」の明確化を「請負の入口」として進めてください。
◆肉体的労働力の提供のみは不適
 即ち、重要ポイントの第1は、前述のとおり、注文主が労働者を直接利用しないこと(指揮命令権)で、①直接業務の遂行方法の指示等を行う。②直接自らの業務遂行の評価等を行う。③就業時刻・休憩・休日・休暇等の指示、管理を自ら行う。④自ら服務規律の設定、指示、管理を行う。⑤自ら労働者の配置等の決定、変更を行うことです。第2は、受託者が自己の業務として独立していること(独立性)で、①自己責任による資金の調達、支弁を行う。②民法、商法、その他の法律上の事業主責任を遂行する。③機械・設備・機材等の自己調達による業務処理または企画・技術・経験上の自己独立遂行性があって、単なる肉体的な労働力の提供ではないことが肝要です。
※3)「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」。
参考:当「人事総務部」ブログエントリー※1)「製造業界における2009年問題」、「適正な請負」、※2)「『告示第37号』は、請負の目安に過ぎません」、「仕事を『請負う』とは」及び「請負は、双方がリスク回避を前提に」等ご参照。「派遣元責任者必携2007年版Ⅱ労働者派遣法(日本人材派遣協会編著)」社)財形福祉協会。「労働者派遣法の改正点と実務対応(安西愈著)」労働調査会。「新ルール対応 非正社員雇用の重要ポイントがよくわかる本(多田智子著)」中経出版。「混成職場の人事管理と法律知識Q&A(産労総合研究所編)」経営書院。