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2010.01.15

公設派遣村 住居喪失不就労者は“捲土重来”を期せ

◆「公設派遣村」で明けた新年

 09年末に開村された“公設派遣村(09/12/28PM)”※1)の「生活総合相談(東京都)」の実施で833人の失業者が集まったとのことですが、年越し施設に充てられた「国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)」の収容可能人数は約500人程度のため、全員が個室入居とはならなかったのでは等と、老婆心ながら心配をした限りです。実質的に当該施設での年越し生活は、新年1月4日の朝に打ち切られる予定でしたが、年末年始にハローワークが機能していなかったことで、多くの住居喪失未就労者が新年早々に街に放り出されることが懸念され、都の貧困者対策施設(大田区)への入所で継続支援実施となった経緯です。

◆施設入所延長にも係らず“無断外泊者は200人”

 ところが、5日から都の当該施設入所者(562人)に対して、《都は「利用中は生活再建に専念してもらう必要がある」として無断外泊を禁じた》のです。そして、《国の財源で2週間分の交通費や食事代として2万円ずつ支給》されたのですが、《施設外に仕事や住まいを探しに行くことを希望した542人》のうち、7日の朝に都が確認したところ利用者数は342人(占率:63.1%)で、なんと“200人が無断外泊”をしたのです。

◆脱走した不就労者は“飲酒、パチンコ”等へ

 この事件についてはTV報道(日本TV:1/10放送)で“支給2万円で酒、派遣村の実態”として取り上げられましたので、ご存知の人も多いと思います。東京都の指示に厳密に従うならば、無断ではなく届出をした上での外泊ならば、とくに問題視されなかったと思います。しかし、昨日まで寝る場所も無かった失業者が指定時刻までに施設に戻らず、この緊急避難措置の渦中にいる人々が、2万円の現金を支給されるやいなや新年早々から無断外泊する等とは、本当に空いた口が塞がりません。TV取材では、CVSのレジで万札を出して酒を購入している映像が放映され、路上で飲酒している不就労者へのインタビューでは、“ガッツポーズで出て行った人やパチンコに行った人もいる”との証言がありました。まさに“赤信号 みんなで渡れば恐くない”の精神で、決して許容できるものではありません。

◆“役所文化”は変えられるか

 都は、《希望人数が多かったため、事務作業を軽減しようと一括支給の形にした》とのことですが、果たして、無断外泊の事由を一括支給のせいにするのは筋違いと言わざるを得ません。《担当者は「社会復帰のためにはルールを守る必要がある。残念な状況だ」》との弁ですが、大人ですから社会ルール厳守は当然です。前掲のTV報道に出演の長妻厚労相は“実際の所在不明者は64人だった”と体裁を取り繕った発言をしていましたが、それこそ“後の祭り”です。そして、続けて“今年は厚労省の役所文化を変える”と抱負を述べられていましたが、セーフティネットの確立とその対応策は立ち遅れと言っても過言ではありません。進学塾の年末年始勉強会で、進学を目指す子供達が鉢巻き姿でホテルに臨んでいる姿を手本とし、住居喪失不就労者も当該入所施設で社会勉強か職業研修でも受講していたならば、少しは救いも有ったかもしれません。

◆新年は“捲土重来”
 石原東京都知事は“甘えた話だ(前掲TV報道)”と一喝し、宿泊施設の期間は延長されず、《利用者542人は都から区や市の福祉事務所に橋渡し(都福祉保健局)》され、「生活総合相談」は18日で打ち切られることなった(1/12)のです。これまで当ブログも「雇用の安定」を目指して「労働者保護」のスタンスで臨んで来ましたが、住居喪失不就労者の今回の失態を“新成人”はどのように捉えたのだろうかと寂しい想いを馳せた次第です。他山の石として、我々大人は“捲土重来”でこの新年に臨みたいものです。
※1)当ブログ記事(09/12/29日付)
 :『2009年の終わりに』ご参照。
参考:日本経済・朝日新聞各紙記事。