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2012.06.24

「改正消防法」成立!あなたの自宅や会社の防災態勢は万全ですか?

◆『改正消防法』が成立

 今国会の衆議院本会議で、『改正消防法』が可決・成立(2012/6/19)しました。当該改正法の骨子は、下記の4点です。
(1)雑居ビル等における防火・防災管理体制の強化・・・施行期日:2014年4月1日。
(2)消防機関による火災調査権の拡大・・・施行期日:2013年4月1日。以下、(3)及び(4)も同じ。
(3)消防用機器等の違法な流通を防止するための措置の拡充
(4)消防用機器等の「検定」制度等の見直し

◆法改正の背景に“大惨事”が

 消防庁資料によると、この度の改正は、まだ記憶も冷めやらない“東日本大震災の教訓を踏まえ”という趣旨に基づいています。上記骨子(1)では、複合ビルでは「統括防火管理者」、そして大規模・高層の建物においては「統括防災管理者」、各々の選任を義務付けるという規定です。
 とりわけ、雑居ビル等の火災について遡及すれば、「新宿区歌舞伎町ビル火災(2001/9/1)」から約11年が経過しますが、当該火災は、奇(ク)しくも「防災の日」に発生したことに加え、小規模雑居ビルにもかかわらず、「ホテルニュージャパン火災(1982/2/8):死者33名」を超える“44名の死者”を出すという大惨事であった点で忘れることはできません。そして、周知のとおり、このビル火災により、翌年、消防法が改正(2002/4)されたという経緯です。

◆命に繋がる「避難経路」の確保

 当該改正の背景は上記のみならず、「建築物全体の防火管理体制があいまいな雑居ビル等を中心として多数の死者を伴う火災被害が頻発(消防庁)」しているという社会情勢にあります。多数の死者を伴う火災被害の事例は前述のとおりで、雑居ビルではありませんが、前段の「防火管理体制があいまい」という点に拘れば、フロアテナント企業を含め、「防火管理者」を管轄消防署に届け出て、消防訓練等を実施してはいるものの、防火管理者のみが“高い防災意識を常時持続する”のは容易ではありません。しかし、実際のところ、個別ビルの非常階段を含む「避難経路」に、様々な物(ブツ)が存置または放置されていない状態を常時保つことは、“防災・減災の必須条件”であると思います。従って、現行の「防火管理者」の指導等に依存するにとどまらず、今回の改正消防法で「統括防火管理者」及び「統括防災管理者」の選任が義務付けられたのは、おこがましいですが、より一層の防災態勢強化に繋がるものと評価できるのではないでしょうか。

◆消防法無視の“不備だらけのホテル火災”

 まだ記憶に新しい福山市の所謂「モーテル」火災は、男女の宿泊客計7名が死亡した他、女性従業員等の計3名が重傷を負った火災事故(2012/5/13)でした。勿論、当該建築物はオフィスビルとは全く異なり、現在から約44前に建築された鉄筋建物と約52年前の木造建築物の合体した建物で、《窓が内側から板で覆われた客室》の為、《排煙や避難の妨げになった疑い》があり、《火災報知機が鳴らなかった(客証言)》との報道でした。結果、当該ホテルは、非常用照明等の消防設備が不備であった他、建物に不燃材が使用されていない等、建築基準法不適格との指摘を受けた(2011/9月:査察)にもかかわらず、全く改善されていなかったのです。当該ホテルの女性経営者がTV報道で土下座して詫びている姿が放映されましたが、まさに平生往生で、今となっては何をか言わんや、です。

◆自宅に「住宅用火災警報器」は設置済ですか?
 しかしながら、消防法を無視した事例を挙げましたが、では、「皆さんのご自宅の防災態勢は?」と、自問自答を含め、前述の事例を一笑に付せることができれば安心です。世界に冠たる少子高齢社会の只中、住宅火災による高齢者の死者が過半を占め、「逃げ遅れ」がその約7割をというデータがあります。また、建物用途別では、前掲のホテルではありませんが、物販店舗や一般ホテル等に比し、近年の住宅火災は数倍多く発生しているという現実があります。「逃げ遅れ」るのは、何も高齢者に限ったことでは毛頭ありません。それは年齢を問わず誰も同じで、火災煙が発生した段階で呼吸困難に陥り、意識朦朧となってその場に倒れ、結果、火災現場から逃げ出せなくなってしまうのです。従って、前回の消防法改正(2004年5月)では、戸建住宅や共同住宅について「住宅用火災警報器等」の設置が必要(各市町村条例でも制定)となったのです。

◆「防災・減災態勢」を万全に
 今回の消防法改正を機に、「統括防火管理者」や「統括防災管理者」、あるいは「防火管理者」から指導される前に、私達一人ひとりが日常生活の各ステージで防災意識を持ち、既述のような火災発生事象を“他山の石”とし、自宅や会社における「防災・減災態勢」の見直しに臨むことが肝要と思います。これが、“人命を守る道”に直結するものと信じています。
【資料】総務省消防庁予防課公表資料。中国新聞記事。
【ご参照】
●ブログ記事(2008/7/31日付)
 :『あなたも救命者の一人』