派遣&請負の情報サイト

人材派遣や請負そして厚生労働省(労働局)の最新情報を発信しています。

メニューを開く
メニューを閉じる

2008.05.13

請負におけるリスクの明確化 (請負シリーズ11)

◆「改正労働安全衛生法」の適用 
 請負事業者の就業状況は、大半が受入事業所直用の労働者と同じ建屋及びラインで一緒に就業している現況で、また、請負事業者のラインに複数の構内下請事業者の労働者が一緒に就業しているという調査結果※1)を当ブログ(請負シリーズ6)でご紹介しました。即ち、請負の作業場所が元方事業者の事業場内であること等から、混在作業による労働災害の防止は、関係請負人の自主的な努力のみでは十分に果たし得ない面があると考慮され、改正労働安全衛生法※2)が施行(平成18年4月1日)されました。因みに、改正内容の一つで、「長時間労働者への医師による面接指導の実施(同法第66条の8及び9、第104条)」は、常時50人未満の労働者を使用する全ての事業場に対して、すでに今年の4月1日から適用となっていますので留意してください。
◆製造業における「総合的安全衛生管理指針」
 同改正法において、とりわけ、製造業(建設・造船業は現行どおり)では、元方事業者による作業間の連絡調整の実施(同法第30条の2)等が義務付けられたのに伴い、元方事業者及び関係請負人の混在作業による事業場全体にわたる安全衛生管理(総合的な安全衛生管理)を確立するため、「製造業(造船業を除く)における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」が策定(基発第0801010号。平成18年8月1日)されています。
◆求められるのは「相互協力体制」
 同指針では、元方事業者に対してのみならず、前記の改正労働安全衛生法と関連し、関係請負人が実施すべき事項として、①元方事業者との連絡等を行う責任者の選任、②作業間の連絡調整の措置の実施、③選任された責任者や安全管理者等の協議会への参加等を規定し、相互の協力体制を求めています。従って、関係請負人が仕事の一部を別の関係請負人に請負わせる場合も同様に、元方事業者への通知等の連携が必要と考えられます。また、機械等を使用させて作業を行わせる場合は、関係請負人が法令上の危害防止措置が適切に講じられていることを確認したり、当該機械等の残留リスク等の情報を別の関係請負人に対して提供する措置をとるよう規定されています。
◆「機械包括的安全基準指針」の改正意図を踏まえ 
 ご承知のとおり、請負事業者の労働災害状況※3)では、加工用機械等による労働災害が製造業において顕著なため、改正労働安全衛生法を踏まえ、「機械の包括的な安全基準に関する指針」においても、機械メーカーへの対策のみならず、機械ユーザー事業者に対し、①危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及び②保護方策(機械のリスクの低減のための措置)の実施を求める内容に改正※4)されました。
◆「請負リスクの明確化」には
 こうした安全体制確立に向けた中、請負事業者を混在作業による労働災害から守るには、これら法律・指針が示す実施事項等の遂行が肝要なのは言うまでもありません。しかし、「自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材又は材料若しくは資材により、業務を処理する」という請負の業務の独立性を堅持するためには、労働災害が発生してからでは、機械や設備の保守に絡む諸問題が発生する恐れも懸念されますので、注文主の所有する機械、設備等を使用する場合には、請負契約とは別個に賃貸借契約を締結することはもとより、注文主からの原材料、部品等の受取りや受託者から注文主への製品の受渡しについて伝票等による処理体制の確立等により、日常からリスクを明確化した請負態勢で臨むことが重要と考えられます。
※1)「職場における業務請負に係る安全衛生管理の実態に関する調査報告書」中央労働災害防止協会。
※2)「『労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)』等の一部を改正する法律(平成17年法律第108号)」厚生労働省労働基準局資料。
※3)当ブログ記事:「労災発生状況と関係指針等の認知を」ご参照。
※4)厚生労働省労働基準局長通達。基発第0731001号。平成19年7月31日付。
参考:「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」。「業務請負・労働者派遣の安全衛生管理(木村大樹著)」中央労働災害防止協会。