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2009.04.21

「所謂『メタボ』だけが問題ではない」という厚生労働省調査結果

◆所謂「メタボ」でない人も要注視
 所謂「メタボ健診」については当ブログ記事(08/9/9日付)でご紹介しましたが、昨年4月から施行された高齢者医療確保法に基づいて開始された「特定健康診査及び特定保健指導」で、開始から丁度1年を経過しました。しかしこの度、「自分自身は所謂『メタボ』ではないから、そんなの関係ない」等と軽く受け止めていた人にとっても、注視しなければならない調査結果が厚生労働省研究班より発表されたのです。
◆平常の「血圧値」が影響する
 今回の大規模調査結果によると、《肥満が保健指導につながる第一条件となっている日本の診断基準に基づくメタボが、死亡や循環器疾患発症に与える影響はあまり大きくない》※1)ことがわかり、《むしろ、血圧を正常値に抑えると、脳卒中の5割以上、循環器疾患による死亡の3割以上を予防できる》ことが明らかにされたので、「メタボは自分には関係ない」と安心していた人も、今後、自己の血圧値を再確認して日常生活に臨むことが重要になってくるものと思います。
◆所謂「メタボ」は40歳以上男性に顕著
 現代は、とかくTV娯楽番組等で所謂「メタボタレント」がスポットを浴びていますが、反面、彼らによる「軽快なダンス」や「桁外れの大食い」が放映される元気な姿に自己投影し、無意識のうちに肥満に対する安心感を覚えてしまう人も少なくないと推測します。と言うのも、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」に該当する人は、予備軍を含めて約1,960万人と推計(平成16年国民健康・栄養調査)されており、男女共40歳以上、とくに中高年の男性に顕著であるという結果です。
◆本来は「生活習慣病」予防重視の健診
 冒頭の「特定健康診査」は、そもそも「メタボリックシンドローム」に着目した健診であるため、この1年間は、とくに肥満対策が脚光を浴びてきたと言っても過言ではないと思います。検査必須項目の一つである「腹囲(立位臍高部:リツイサイコウブ)」は、男性85cm以上、女性90cm以上がメタボリックシンドロームの可能性が高いと判断される目安になっている点で、日常生活の話題としてもかなり浸透したのではないかと思います。ただ本来、「生活の質(QOL)」を確保しながら中長期的に医療費適正化を目指すとされた生活習慣病に対する予防を重視した健診ですので、そういう観点からすると、単に肥満だけが問題視されている訳ではありません。
◆とくに「血圧」・「血中脂質」・「血糖」を重視
 とくに重視されるのは、「検査必須9項目」の内、(1)「血圧」、(2)「血中脂質」、(3)「血糖」で、各々専門的で細かい数値を記載しますが、「血圧測定:収縮期血圧130mmHg以上、且つ/または拡張期血圧85mmHg以上)」、血液検査による「脂質検査:中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満。LDLコレステロール量の検査」※2)、「血糖検査:空腹時血糖値100mg/dl以上。またはHbA1c検査」等がメタボリックシンドロームの可能性が高いと判断される要因になっています。
◆健康も「自己責任」の時代
 勿論、前記のほか、検査必須項目には「既往歴の調査」、「身長、体重の検査」、「尿中の糖及び蛋白の有無の検査」等々がありますが、冒頭に記した厚労省調査結果を踏まえ、今後は所謂「メタボ」の心配のみならず、不規則な生活習慣により肥満者が増加し、糖尿病、高血圧、高脂血症の危険因子が重なって心疾患や脳血管疾患を発症する危険が増大するのを予防する為にも、平常時の「血圧値」や「血糖値」等も含め、日常生活における健康の自己管理がより一層肝要になるものと考えます。まさに、健康も「自己責任」の時代です。
※1)09/4/16日付:毎日新聞記事。
※2)HDL(high-density lipoprotein):高密度リポタンパク質。⇔LDL(低密度リポタンパク質):悪玉コレステロール。
参考:厚生労働省公表資料等。