2009.11.13
裁判員裁判 裁判員経験者の記者会見について 【第400号】
◆身近に感じるようになった「裁判員裁判」
過日、《来年の裁判員候補者は全国で約34万4,900人(最高裁)》とのマスコミ報道がありました。早いもので、国民が刑事裁判手続きに参加する「裁判員制度」が開始(5/21)されてから約半年が経過するところですが、実際に地裁で行われる裁判が始まってからはまだ数ヶ月しか経っていません。
裁判員制度については、当ブログ記事※1)~※5)で制度開始以前から意見を述べてきましたが、裁判員の参加する刑事裁判で取り扱われる事件が、主に強盗致傷や殺人の「重大犯罪事件」の審判に係るという点は、現在も裁判員裁判への参加を躊躇させる要因の一つであるのかもしれません。実際に裁判員裁判が実施されるようになってからは、とりわけTV報道等で裁判に参加した裁判員のナマの意見等を視聴する機会も有り、前記の不安は解消されたかのようで、裁判員裁判はおしなべて身近に感じられるようになったのではないでしょうか。
◆印象深い「裁判員経験者の意見」
裁判員制度開始以前の話になりますが、裁判員(補充裁判員を含む。以下、同じ)を経験した人に対する記者会見による取材協力の『お願い(「裁判員となるみなさんへ」)』が公表(2/26:日本新聞協会)された時点では、まだ「裁判員に選任されても参加したくないという人」が少なくない状況でしたので、筆者は記者会見による取材協力には裁判員が拒否したりするのではないかと邪推し、また、メデイアが所謂“芸能スクープ”のように「突っ込みインタビュー」を試みるのではないか等を懸念し、当ブログに記事※2)を執筆したという経緯です。これまでのところ、筆者の老婆心は徒労に終わったようで何よりです。
実際、法廷での被告人に対する「各裁判員の的確な質問」や「判決後の感想」等は、まだ裁判員裁判に参加していない国民の心に印象づけるものになっており、《評議で十分意見を述べることができた、裁判官と裁判員が一体となって判断できた》等、皆さん立派に努められたことに対しては個人的に敬服している次第です。これらの事象について国民個々の受け止め方は異なると思いますが、裁判員経験者の声を伝えることは、新聞協会の取材協力の要望(前掲)の段階で、その意義は大きいという最高裁判所の認識を得られた結果のもとに実施されており、法律違反ではありません。これについて、裁判所は《裁判員等であった方が、ご自身の意思で判決宣告後に記者会見に参加することは、問題ありません》と明言しています。
◆来年の「裁判員候補者通知」は今月届く
10月末までに終了した裁判員裁判(46件)について、判決後に記者会見をした裁判員経験者は「78.4%」と高い占率でした。来年以降は通年実施となるため、平均302人に1人の割合で裁判員候補者に選ばれる確率となり、「候補者名簿に記載されたという通知(調査票、制度説明DVD、Q&A冊子等が同封)」が最高裁から全国一斉に昨日(11/12)発送されました。裁判員候補に選ばれた人にとっては、裁判傍聴人とは異なり、刑事裁判への参画で社会貢献できる一つの機会であり、「裁判員裁判の意義や在り方」を再考できる貴重な機会ですので、筆者も国民の一人として経験したいと期待しています。
【ご参照】
※1)当ブログ記事(09/05/15日付):『裁判員の参加する刑事裁判の対象事件とは?』。
※2)当ブログ記事(09/03/04日付):『裁判員経験者の記者取材協力について【第200号】』。
※3)当ブログ記事(09/02/18日付):『裁判員候補者の皆様へ』。
※4)当ブログ記事(08/12/03日付):『「裁判員候補者」の選任通知を受けられた皆様へ』。
※5)当ブログ記事(08/07/25日付):『あなたは「裁判員」辞退希望派?』。
参考:裁判所公表資料。日本経済新聞記事。
【ご愛読御礼】
当「人事総務部ブログ」は、お陰様で創稿以来1年7ヶ月を迎え、本日★「第400号」の発信となりました。これもひとえに、当ブログ読者皆様のご愛読の賜物と深く感謝致し心より厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。今後も引き続きご愛読賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。