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2008.08.29

「有期労働契約における解雇・雇い止め」について

◆「告示第357号」の一部改正
 改正労働基準法(平成15年7月4日法律104号公布)第14条第2項※1)に基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)」が告示されましたが、就業形態の多様化と共に、有期労働契約は解雇・雇い止めのリスクを回避する為、直接雇用よりも派遣契約において活用されてきました。そして、個別労働紛争の発生も少なくないことから、当該基準の一部が改正(平成20年厚生労働省告示第12号:平成20年1月23日付)され、今年の3月1日より「労働契約法(平成19年12月5日法律第128号)」と合わせて適用・施行されています。
◆「解雇」は労働契約法に移行
 因みに、労働契約法は、企業による従業員に対する就業規則の周知徹底等に重点が置かれ、会社と従業員間の個別の労働契約のルールを明文化した新法です。同法成立により、労働基準法の解雇規定(第18条の2)は、労働契約法第16条※2)に移行されましたが、罰則等はありません。
◆「雇い止め予告」の義務化
 閑話休題、前掲事由により、「告示357号」第2条は、有期労働契約が3回以上更新されている場合は、労働契約期間が1年を超えていなくても、少なくとも30日前の「雇い止めの予告」義務を課すものと改正されました。本来、この基準は、使用者が講ずべき措置について定めたものですから、当該義務に加え、有期契約労働者に対して、契約締結時に契約更新の有無を明示、契約更新する場合またはしない場合の判断基準を明示しなければならないのです。
◆請負化もある
 有期労働契約は、当該基準をきちんと満たす限りにおいては、使用者と労働者との合意に基づく契約なので、反復更新しても期間の定めのない労働契約にはなり得ません。雇い止めが問題視されるのは、有期労働契約である場合を前提としていますが、有期労働契約の反復更新により、労働者が期間の定めのない契約と誤解するところにトラブルが発生する場合もあるので、有期労働契約に係る手続きを懈怠しないことは重要です。あくまでも、雇い止めを前提とするならば、労働者に雇用継続への期待を生じさせないことが肝要です。そして、有期労働契約における実務的手続きを回避したいならば、新たに「請負化」するという方法も検討に値すると考えられます。
※1)厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
※2)解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
参考:「新版労働者派遣法の法律実務【下巻】(安西愈著))」労働調査会。「混成職場の人事管理と法律知識Q&A(産労総合研究所編)」経営書院。