派遣&請負の情報サイト

人材派遣や請負そして厚生労働省(労働局)の最新情報を発信しています。

メニューを開く
メニューを閉じる

2013.09.25

2014年の派遣法改正の行方を左右する“連合”の動向がポイントになるかも・・・

◆「ねらいは『正社員ゼロ』?『“生涯”ハケンで“低賃金”』に異議あり!9.20緊急集会」を開催

 9月20日、連合は、労働政策審議会で労働者派遣法の見直し論議がスタートしたことを踏まえ、「ねらいは『正社員ゼロ』?『“生涯”ハケンで“低賃金”』に異議あり!9.20緊急集会」を開催した。
 派遣法については、8月20日に厚生労働省の有識者研究会が、派遣法の背骨とも言える派遣期間制限の大幅緩和を柱とする制度の抜本見直しの報告書を取りまとめた後、8月30日から法改正の議論が労働政策審議会の労働力需給制度部会でスタートした。緊急集会は、連合としてこうした規制緩和を認めず、より良い派遣法見直しを求める姿勢を広く世間に訴えることを目的に開催したものであり、連合組織内外を中心に約280名が参加した。
 開会挨拶に立った古賀伸明 連合会長は、「派遣労働者の雇用や処遇の問題は、同じ職場で働く仲間として看過できない問題である。均等待遇の実現など、より良い派遣法の見直しに向けて全員の力を結集させよう。」と挨拶。
 続いて、新谷信幸 連合総合労働局長が、「労働者派遣法の改正に向けた連合の考え方」(9月12日第24回中央執行委員会確認)で確認した考え方を提起。とりわけ厚生労働省の有識者研究会が提起するような恒常的派遣を可能とする規制緩和は、不安定雇用を増大させることになるため認められないと指摘し、「常用代替の防止」と「派遣労働者の保護」の双方に立脚した法改正を行う必要があると訴えた。
 その後、事務系派遣と製造業務派遣で働く組合員2名が派遣労働の実態を訴えた。派遣で働く組合員からは、たとえ派遣先の正社員と同じ仕事をしていても派遣であることを理由に賃金や福利厚生に差がある現状の報告や、雇用が安定した正社員になりたいという訴えがなされた。
 続いて、猪股正 日本弁護士連合会貧困問題対策本部事務局長が連帯挨拶に立ち、「2012年改正で進んだ労働者保護の流れを止めるべきではない。派遣法は、派遣労働者の労働条件の向上や、安定雇用を増やしていく方向で議論すべきであり、法曹界も労働界と連携して意見を述べていく。」と述べた。
 また、労働力需給制度部会委員の石黒生子 UAゼンセン副書記長と同オブザーバーの宮本礼一 JAM書記長が登壇し、派遣法の根幹をなす「常用代替の防止」の考えを守りぬくとともに、均等待遇を実現し、派遣労働者の処遇改善を行う旨の決意表明を力強く行った。
 最後に、連合が今年7月に実施した労働者派遣制度欧州調査団の団員であった半沢美幸 電機連合中央執行委員が集会アピールを読み上げ満場の拍手によって採択した後、永芳栄始 連合副会長(JEC連合会長)による「団結がんばろう」にてより良い派遣法改正の実現に向けた意識を共有し、閉会した。

◆「ねらいは『正社員ゼロ』?『“生涯”ハケンで“低賃金”』に異議あり!9.20緊急集会」 アピール

 労働者保護のためのワークルールに、深刻な危機が迫っている。
 1985年の制定以来、規制緩和を重ねてきた労働者派遣法が、今また自公政権によって、法の趣旨を根幹から崩しかねない形で見直されようとしている。
 厚生労働省の有識者による研究会は、不安定雇用と低処遇という課題を抱えたままの派遣労働者を、これまで以上に増やしかねない提言を行っている。そこでは、人材派遣業界の意向に近い整理がなされており、“直接雇用の正社員にはなれなくても、派遣労働者として生涯働けるのであれば、雇用は安定していると言ってよい”、“欧州とは賃金事情が異なるのだから、均等待遇の実現は困難”といった考え方がとられている。そして、これらが労働政策審議会の論点として示されかねない状況にある。
 また、労働者派遣法の歴史の中で派遣労働者の保護に向けた唯一の改正であり、民主党政権のもとで昨年導入されたばかりである「日雇い派遣の原則禁止」や「労働契約申込みみなし制度」といった仕組みについても、早期に撤回すべきだとの主張が、労働政策審議会や規制改革会議の場で事業者・経営者側から声高になされている。
 派遣労働者の多くは、低処遇に甘んじながら派遣労働者として生涯働き続けることを、けっして望んでいるわけではない。正社員としての雇用の安定と、スキルアップ・キャリアアップを通じた処遇の改善を望んでいる。
 労働者派遣法は、派遣労働を常態化させることなく、派遣労働者をディーセント・ワークへと誘導するものでなければならない。また、「雇用は期間の定めのない直接雇用であるべき」との雇用の原則にしたがい、いっそう安定した雇用のもとで安心して働ける環境をめざすものでなければならない。
 派遣労働者という立場であれ、正社員という立場であれ、どのような立場であろうとも、心をひとつに連帯し、今こそ、労働者派遣法のあり方を働く者全員で問い直そう。そして、ともに働く派遣労働者が苦しんでいる不安定雇用や低処遇といった課題の着実な解決のために、労働者派遣法の改正を成し遂げよう!
2013年9月20日
※「連合」は、日本労働組合総連合会の略称。
【資料】連合HPの新着情報より抜粋。