2009.12.17
労働者派遣法改正で問われる「同一労働同一賃金」
◆「政策合意」に謳う“均等待遇の実現”
来年の「労働者派遣法改正」を控え、とりわけ非正規雇用における「同一労働同一賃金」が社会問題となっています。民主党は『民主党 政権公約 Manifesto』※1)で「派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇原則を確立する」と明記しており、3党連立政権「政策合意」においても、《「均等待遇」の実現》を謳い、男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る方針を明らかにしています。
◆OECDからの「勧告」
OECD(経済協力開発機構)は『対日報告書』※2)の中で、《日本では労働市場の二極化が急速に進んで》いるので、《製品市場の改革は労働市場の改革と並行して実施し、効率性と公平性を高めるべきである》と述べています。つまり、具体的には「正規・非正規間の保護のギャップを埋めて、賃金や手当の格差を是正せよ」という趣旨です。まさに、わが国の“格差社会”の要因の一つである非正規雇用保護と社会保障適用等の問題は、《労働市場の二極化》を招いた現実に直面しています。まさに、OECDによる勧告です。
◆派遣法改正論議に期待
「労働者派遣法改正」に臨むにあたり、“同一労働同一賃金”については議論に時間を要すると思います。前掲のとおり、確かに格差社会を生み出した要因の一つは「非正規雇用問題」にあることは否めませんが、現在、「円高」、「デフレ」と闘っている国内企業団体の意向を鑑みるに、OECDの圧力を直ちに受け入れることはできないものと推測します。先ずは、派遣法改正に際し、わが国内の“労働者派遣の在り方”の方向性を明確にし、改めて基本的観点からの論議に期待するところです。
※1)09年8月18日付 民主党 第45衆届出パンフレット等第1号。
参考:※2)『OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)対日経済審査報告書2008年版』公表資料。