2008.10.10
派遣労働契約の期間制限について
◆労基法の適用に基づく
「労働者派遣法改正案」について国会での議論に委ねられますが、そもそも、派遣会社(派遣元)と派遣労働者との間の雇用契約が「派遣労働契約」です。では、その派遣労働契約の期間は、どうして3年なのでしょうか。これは、労働者派遣には労働基準法が適用され、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。(労基法第13条)」と定められているので、派遣会社は、労働契約の締結にあたり、労働基準法が定める最低の労働条件を守らなければならないのです。そして、同法第14条で、「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年を超える期間について締結してはならない。」と定めていることに基づいているからです。但し、高度の専門的な知識、技術または経験を有し、このような専門的知識等を必要とする業務に就く者及び満60歳以上の労働者の場合(5年)は除かれます。
◆有期労働契約更新の現実
また、有期労働契約※1)の多くが契約の更新を繰り返すことによって一定期間継続して雇用されているという現実を踏まえ、派遣労働契約を更新して反復継続される場合には、当該契約が実質的に期間の定めのない契約とみなされ、結果的に「長期労働契約による人身拘束の弊害を排除するため」に、有期労働契約の契約期間の上限が定められた訳です。そして、このように雇入れ日から起算して1年超継続勤務している有期労働契約者への「雇止め」をする場合は、「少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない(労基法第20条)」のです。
派遣労働契約締結に際しては、個々の労働条件の確認が大切ですので、前記のとおり、その基本的な「労働契約の期間」について簡単な説明を致しました。そしてこの度、厚生労働省は、①「派遣労働者の皆様へ」、②「派遣先の皆様へ」、③「派遣会社の事業所の皆様へ」と題する「労働者派遣パンフレット」を公開していますのでご紹介致します。以下のURLよりご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai15/index.html
※1)当ブログ記事(5/29日付)「有期労働契約において使用者が講ずべき措置等について」ご参照。
参考:厚生労働省職業安定局公表資料。労務安全情報センター資料。「新版労働者派遣法の法律実務【下巻】(安西愈著)」労働調査会。「ガイドブック労働者派遣法(高橋保著)」法学書院。