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2008.05.27

外国人労働者の雇用状況と適正な雇用管理

 わが国で働く外国人は10年前の2倍の約75万人に増えており、外国人労働者の雇用状況については、各事業所より年1回の任意報告(公共職業安定所)を求める「外国人雇用状況報告制度(厚生労働省)」が平成5年から実施されてきました。しかし、「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律(平成19年10月1日施行)」により、事業主は、「外国人労働者の雇入れ・離職時に、その氏名、在留資格、在留期間等を厚生労働大臣(公共職業安定所長)に届出」が義務化され、より正確な数値を把握できるようになりました。
 今回の参考資料は、まだ同制度義務化以前のものですが、「外国人雇用状況報告(平成18年6月1日)」※1)の結果概要をみると明らかで、90,665事業所からの報告書提出のうち、外国人労働者を雇用(直接・間接雇用)していたのは30,488事業所(対報告事業所33.6%)で、前年(同29.8%)より増加しています。その内訳で、外国人労働者を間接雇用※2)している事業所(これは、①直接及び間接雇用のいずれの形態も有する事業所と、②間接雇用の形態のみを有する事業所を含む2分類)は、6,667事業所(同雇用の外国人労働者数167,291人)で、同外国人労働者数は前年より22,400人増加しており、とくに、「間接雇用※2)の形態のみを有する事業所」は、3,165事業所(47.5%)を占めています。また、産業及び事業所別では、事業所数、労働者数ともに「製造業」及び「100~299人規模」が最多で、1事業所当たりの外国人労働者数の平均は、25.1人(前年24.6人)と前年を上回っており、直接雇用の場合の平均8.2人(前年7.9人)と比較すると、間接雇用はその約3倍に拡大しているという状況です。
 このように、外国人労働者の雇用が増加する中、各国との「EPA(経済連携協定)」※3)の進捗状況は、発行済5カ国、署名済3カ国等で、交渉中6か国のうち、今年4月の韓国大統領来日時に、日韓首脳会議で交渉再開が決定しました。その他、この5月にはインドネシア政府との調印で受け入れが決定したところで、今後も諸外国とのEPAの推進等を受け、外国人労働者は益々増加するものと推察されます。
 冒頭に挙げた「雇用対策法等の一部改正」は、外国人労働者の届出義務化に留まらず、「その雇用管理の改善及び再就職支援」についても事業主の努力義務と課しており、事業主が適切に対処するために必要な指針※4)が策定されています。当指針の雇用管理の改善等に関する事業主が講ずべき措置(6項目)において、「労働者派遣又は請負を行う事業主に係る留意事項」で特に重要なのは、①派遣就業の具体的内容の当該外国人労働者への明示。②派遣先は、労働者派遣事業の許可又は届出のない者からは外国人労働者に係る労働者派遣を受けないこと。③請負を行う事業主は、雇用する外国人労働者の就業場所が注文主である他事業主の事業所内である場合に、当該事業所内で、雇用労務責任者等に人事管理、生活指導等の職務を行わせること等です。その他、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、人事課長等を雇用労務責任者として選任すること等を定めていますので、当指針で詳細を改めて確認しておくことが望ましいと思われます。
※1)従業員50人以上規模の事業所は、全事業所が対象。従業員49人以下規模は、一部の事業所を対象。
※2)外国人労働者が労働者派遣・請負等による事業所内の就労をいう。
※3)Economic Partnership Agreement:ある国や地域の相互間で経済の幅広い分野で連携強化を目指す経済連携協定。
※4)「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年10月1日適用)」厚生労働省資料。
参考:「外国人雇用状況報告(平成18年6月1日現在)の結果について(平成19年3月12日)」厚生労働省職業安定局公表資料等。