派遣&請負の情報サイト

人材派遣や請負そして厚生労働省(労働局)の最新情報を発信しています。

メニューを開く
メニューを閉じる

2010.09.11

★「商店街」が生き残るために何が必要か

◆昔の“商店街大売出しキャンペーン”

 皆さんの身近に存在する「商店街」の現状はどうですか?そんな思いに駆られるのも、通勤途上にある「商店街」が大変寂れた現状にあるからです。
 かなり昔に遡及して恐縮ですが、今で言う「サマーキャンペーン」に相当する“大売出しキャンペーン”です。山車(ダシ)祭りではなく、当時は「チンドン屋」が大売出しのPRを請負い、商店街から町中を終日練り歩き、夜間には商店街が遊歩道として開放され、舟型のカーステージ上でプロ歌手の歌謡ショーが開催され、大勢の買物客が集まったのが遠い日の想い出となっています。

◆“シャッター通り化”した商店街

 あれから数十年経過後の現在、商店街は所謂“シャッター通り”と化し、閉店後の空地は取り敢えず「有料駐車場(時間制・月極)」になり、手付かずの空地には雑草が伸びて“歯抜け状態の商店街”となってしまっているのです。今年も恒例の都市を挙げた夏祭りの一環で、当該商店街には全国から来名した若者らが演じる「民謡ダンスパレード(上演時間:2H。推計演者数:約2,000人規模)」が実施されましたが、祭りの後は、閑散としたいつもの商店街に戻っているのが現状です。

◆“商店街はなぜこうなってしまったのか”

 “商店街はなぜこうなってしまったのか”を探るべく関連資料を見ると、直近でも些か旧いデータ『平成18年度商店街実態調査報告書*簡易版*(平成19年3月)』※1)から引用させていただくことになり、この点は誠に恐縮の至りでどうかご了承ください。
 さて、当該資料によると、(a)「商店が退店(廃業)した主な理由」の第1位は「商店主の高齢化、後継者の不在(60.6%)」で、「他の地域へ移転」が第2位でした。「同業種との競合」は第3位ですが、意外にも「大型店の進出」は第5位です。
 また、(b)「空き店舗が埋まらない理由」については、上位から順に「商店街に活気がない(28.9%)」、「所有者に貸す意思がない(27.6%)」、「賃貸条件が厳しい(19.8%)」と拮抗しています。前記(b)の回答:「商店街に活気がない(第1位)」は、質問(a)の回答のひとつ(第4位)でもあり、その原因は「空き店舗」の発生に起因していると思われます。
 では、なぜ「空き店舗」ができるのかと言うと、質問(a)の回答:「他の地域への移転(第2位)」が要因と推察します。つまり、質問(b)の回答:「賃貸条件(第3位)」等の影響も想定できますが、両質問に対する上位回答から判断すると、「商店街に活気がない(第1位)」ことが大きく影響しているのではないかと推察し、そして、その根本要因は「商店主の高齢化、後継者の不在」に帰結するものと考えます。

◆「商店街の抱える問題」とは

 しかし、一方で「商店街の抱える問題は何か」との質問に対する回答(全体N:2,644)では、前掲の「経営者の高齢化等による後継者難」は第3位(31.4%)で、「前回の同調査結果:平成15年度(第1位67.1%)」から後退しているのです。
 つまり、「商店街の抱える問題」は、まさに当該「回答」第1位の「魅力ある店舗が少ない(36.9%)」、第2位の「商店街活動への商業者の参加意識が薄い(33.4%)」にあるということです。実際、商店主の高齢化阻止や後継者を即時生み出すことは不可能ですが、前記の2つの上位事由については、努力や対策次第で絶対不可能であるとは断言できないのではないでしょうか。

◆「取組み努力の商店街」は繁栄
 果たして、商店街はこのまま衰退の一途を辿るしか生き残る道はないのでしょうか?そこで、「繁栄している商店街の取り組みは」との質問に対する回答(全体N:2,441)を見ると、(a)「通行量調査の実施」を定期的あるいは必要に応じて実施している商店街は「繁栄している(62.5%)」、「停滞しているが上向きの兆しがある(49.1%)」との結果です。そして、(b)「商店街のバリアフリー」を実施済または取組中の商店街では、「繁栄している(44.7%)」、「停滞しているが上向きの兆しがある(33.6%)」と回答しており、翻って、衰退している商店街は、結局のところ、それらに真剣に取り組んでいないことを明白に物語っているのです。

◆ソフト面からの対応策も奏功
 勿論、商店街が生き残るには、前記のハード面の取り組みも重要ですが、それは第一に“顧客来店”が大前提となる話です。従って、ソフト面に関する「繁栄している商店街の個店に向けた取組みは」との質問に対し、(c)「商品構成の見直し・変更」や(d)「営業日の拡大」と回答した商店街は、それぞれ「繁栄している(c:64.1%、d:60.5%)」、「停滞しているが上向きの兆しがある(c:65.8%、d:36.2%)」と回答しています。つまり、繁栄しているとか上向き傾向にある商店街は、「リテールMD(merchandising):品揃え計画」から顧客のライフサイクルの変化に対応した取り組みを行っていることが証明されていると捉えることができるのではないでしょうか。

◆“日々のPR努力と環境整備”は万全か
 そこで、「ソフト」及び「ハード」両面における商店街のより具体的な取り組み(全体N:2,644)を見ると、ソフト面では対面販売を基本とする商店街のせいか、(1)「チラシの配布などの共同宣伝(37.6%)」、(2)「スタンプカードやポイントカード(27.7%)」、(3)「共通商品券(23.9%)」が上位で、《「ICカード」や「電子マネー」についての対応では、ほとんどの商店街が実施する予定はないと回答》しています。また、ハード面で最も多いのは「街路灯(71.1%)」でした。都会では24時間営業が当然の「CVS(コンビニエンスストア)」の照明は内外共に終日明るいのが常識で、アーケード等の整備不足や暗い照明の商店街に人が集まらないのは言うまでもありません。

◆“独自のアイデアで活性化した商店街”の事例
 ここで過年度になりますが、「全振連」※2)の『商店街にぎわいPLAZA(Net)』から、《独自のアイデアを生かした商店街活性化》の取組み事例を抜粋し、以下に列記(原文のまま)してご紹介します。
1.【平成15年度】
●「昭和の町づくり」にさらなる賑わいを創出:豊後高田商工会議所(大分県豊後高田市)。
・豊後高田市は「昭和の町づくり」で全国注目の街。空き店舗を活用し、高齢者等の交流拠点を整備し街の賑わいに一役。平成14年度コミュニティ施設活用商店街活性化対策事業(高齢者等交流施設)。
2.【平成16年度】
●空き店舗への子育て支援施設の設置で商店街が変貌:特定非営利法人子育て支援のNPOまめっこ・柳原通商店街振興組合(愛知県名古屋市)。
・空き店舗へ子育て支援施設を設置したことで、客層が変化し、商店街組織に活気が出た。平成15年度コミュニティ施設活用商店街活性化事業(保育サービス施設)。
3.【平成17年度】
●歴史的な町並みと「小野川舟運プロジェクト」という地域資源の活用により、観光をテーマにした活性化を目指す:株式会社プレキメラ(千葉県佐原市)。
・舟運事業が街なか観光を活性化し、観光客の増加、空き店舗の解消など様々な効果を生み出す。平成16年度商店街等活性化事業(活性化対策)。
4.【平成18年度】
●追浜商店街(神奈川県横須賀市)
・大学のゼミを商店街の空き店舗を活用して行いたいとの依頼があったことをきっかけに、商店街でワイン造りを行うこととなった。空き店舗を改装し、製造設備を整えるとともに、野菜の販売や、コミュニティ施設としても活用されている。商店街、学生、地域住民が協力して製造されるワインは地元の美味しいワインとして大変評判となっている。

◆“地域の街づくり”と合致した活性化策
 現代は様々な分野で“セルフサービス”が常識となり、“Face to Face”が大切と謳うものの、“対話の無いショッピング”が日常化した生活を送る機会が多いので、商店街での対面販売等に疎遠になっている嫌いはないでしょうか。活性化事業において「ソフト」や「ハード」が肝要等と論じる前に、日常生活の買物で“人と人が心でふれあう機会”は確実に減少していると思います。
 少子高齢化の只中、「経営者の高齢化等による後継者難」という切実な社会問題を踏まえ、“おバアちゃんの原宿”と呼ばれる『巣鴨地蔵通り商店街』のように特化して活性化している事例もあります。そして、とくに前掲の高齢者等の交流拠点整備による「昭和の町づくり」事業(豊後高田市)や「空き店舗への子育て支援施設の設置(名古屋市)」の事業例は、この“少子高齢社会における地域の街づくり”に合致した商店街の活性化策として注目に値すると考えます。

◆コンセプトに基づく“個店MD”を
 さて、「商店街の抱える問題は何か」を考える為、同調査の質問:「商店主が居住している店舗の割合」に対する回答を見ると、「0~50%未満」の占率合計は56.2%で、「3割未満」の占率(40.8%)が対平成15年度調査結果(27.5%)と比較して増加しています。
 要するに、店舗に居住していない商店主の割合が増加しているという傾向です。これに対して、すでに実践されてはいますが、「空き店舗」対策もインターネット等を通じた公募をもっと活用してはどうでしょうか。但し、単に「空き店舗」を埋めればよいというのではなく、「ブランドMD:商品化計画」や「リテールMD」と同様に、“商店街全体のコンセプト”を明確にした上で、それに基づいた“個店MD”を図る必要があると考えます。その実現により、商店街の“個店バランス”も保持できるのではないでしょうか。

◆目指すは“共存共栄”
 当該記事の最初の質問(a)「商店が退店(廃業)した主な理由」」に対する回答に立ち返ると、「同業種との競合(第3位)」や「大型店の進出(第5位)」の問題は、「商店主の高齢化、後継者の不在」や「他の地域へ移転」よりも後位の事由となっており、“相互繁栄”に繋がる余地は皆無ではないと推察します。実際のところ、長年の営業で老朽化した「大型店(総合スーパー)の撤退表明」に対し、近隣住民が署名活動を実施した結果、当該大型店が「全面リニューアル(改築)」して、その町で営業再開した現実を近年目の当たりにしました。まさに地域住民の存在あっての“共存共栄”ではないでしょうか。
 因みに、平成22年度の「商店街実践活動事業」の事業費補助金※3)採択事業(第2次公募結果:10/9/3日付)は「36事業、23都道府県」に上っており、今後、全国各地で“地域に根ざした商店街”として生き残って行くことを期待するばかりです。
※1)『平成18年度商店街実態調査報告書*簡易版*(平成19年3月)』平成18年度中小企業委託事業。「調査地域」:全国対象。「調査票発送数」:8,000、「有効回答率」:33.1%。尚、当該調査の商店街とは、《小売業、サービス業等を営む者の店舗等が主体となって街区を形成し、何らかの組織(商店街振興組合、事業共同組合、任意団体)を形成しているもの》をいう。
※3)商店街振興組合、商店街振興組合連合会が主体となって、地域への貢献、社会課題への対応(少子高齢化、安心・安全、環境問題、地域資源の活用、伝統の継承等に対するものなど)及び、地域コミュニティとの連携等に意欲的に取り組む事業に対して、100万円を上限(下限は30万円)に補助するもの。
【参考】※2)「全国商店街振興組合連合会(全振連)」公表資料。