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2010.01.22

雇用対策で窮地に立つ米国民主党 雇用対策が急務のわが国民主党

◆「連邦上院議員補欠選挙」で米国民主党は敗北

 時の経過は早いもので、この1月20日で“米国オバマ大統領就任1周年”が経過しました。大統領就任演説の政策方針に基づいて政治は行われているものと思いますが、世論調査では日本の首相と同様、オバマ大統領の支持率は現在53%と下降傾向です。このような状勢のもと、民主党上院議員死去に伴う「連邦上院議員補欠選挙」において、《民主党の牙城である米国東部マサチューセッツ州で》“共和党が勝利(1/19:即日開票)”したのです。その結果、《民主党は上院(定数100)で議事妨害を阻止できる60議席を割り、安定多数を失ってしまった》のです。

◆“政府が機能しているかどうか(オバマ大統領)”

 TV報道(1/19)によれば、オバマ大統領選のとき、米国の若者による“草の根運動”が盛り上がったのは、オバマ大統領選出の勝因のひとつと考えられたようです。しかし、今や支援者であった若者の仕事は無く、“職業訓練だけでは実際に仕事に就けない”等という現状を嘆く姿が放映されました。つまり、若者は仕事が無いので補欠選挙時に民主党の選挙支援活動ができなかったという経緯で、今度は選挙の敗因となってしまったのです。
 ここで1年前の当ブログ記事(09/1/22日付):『★「オバマ米大統領就任」にあたって』を改めて見ると、大統領就任演説では、一昨年の世界金融危機直撃を踏まえ、《家は失われ、仕事は奪われ、企業は破綻した。》と主張しており、“悪夢”は蘇らせたくない思いに駆られます。そして、続けて《家族が収入を得られる仕事にありつけ、家族を養うことに寄与しているかなどといったことであり、政府が機能しているかどうかということなのだ。》とのメッセージは、まさに今の米国の雇用情勢に対して問われているのではないかと思います。

◆「公設派遣村」の就職者は約15名

 振り返れば、日本も米国と同様、雇用状況はまだ回復していないと言えます。と言うのは、過日の当ブログ記事※1)で“住居喪失不就労者は捲土重来を期せ”と厳しい言葉を発しましたが、「公設派遣村(生活総合相談:東京都。入村者数:833人)」の期間延長による「貧困者対策施設(都)」が閉所(1/18)された時点で、仕事に就けたのはわずか15人程度に終わっていたのです。蛇足ながら、当該施設の閉所後に判明した事実では、無断外泊者:200人の内、なんと《約110人が宿泊施設に戻らず、残金の精算ができていない》ために《都は強制対処処分とした》とのマスコミ報道がありました。いずれにしても、無断外泊者は100名以上という話で、全く情けない限りです。詳しくは、当該ブログ記事※1)をご参照ください。

◆日本政府は「雇用対策」を最優先に

 また一方、わが国の将来を担う今春の大学卒業予定者の就職内定率※2)は「73.1%(09/12/1時点)」、及び高校卒業予定者の就職内定率は「68.1%(09/11月末時点)」で、それぞれ前年同期の数値を「▲7.4%」、「▲9.9%」と下回っています。現状の経済情勢と雇用状況のままでは、それこそ来年の卒業予定の学生に大きく影響を及ぼす恐れもあります。少子高齢社会の先頭を行くわが国の「生産年齢人口(15~64歳)」は、2055年には約4,595万人まで減少すると予測(出生及び死亡共に中位推計)※3)されており、「雇用」の無いところに“明日の日本の繁栄”はあり得ません。まさに、日本政府は『新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~(2009年12月30日)』の中で、《雇用の確保なくして、冷え切った個人消費が拡大し、需要不足が解消することはあり得ない。》と明言しています。前掲の米国の若者の雇用状勢のごとく、わが日本においてもこうした学生への「就職対策」は勿論のこと、前掲の住居喪失不就労者への「仕事(働く場所)」の提供は急務であり、政府には「雇用対策」を重点推進していただくよう切望します。
※1)●当ブログ記事(10/1/15日付)
 :『公設派遣村 住居喪失不就労者は“捲土重来”を期せ』
※2)厚生労働省公表資料。
※3)『日本の将来推計人口(平成18年12月推計)』:国立社会保障・人口問題研究所公表資料。
参考:日本経済・朝日・中日新聞各紙記事。