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2011.07.31

★8月開始の『国際成人力調査(PIAAC)』で問われるのは“成人力”!

◆OECDの「国際成人力調査」

 とにかく、『国際成人力調査(PIAAC※)』の報道(7/26)に驚嘆させられました。と言うのも、恥ずかしながら、報道に接するまで、個人的にはこの情報について全く無知だったからです。
 当該調査は、《OECD(経済協力開発機構)が進める新しい国際比較調査で、各国の成人が日常生活や職場で必要とされる技能(「成人力」)をどの程度持っているかを調べるもの》です。調査目的は4項目で、《国や企業が「成人力」を養うための人材育成の方法を考える際のデータを提供》する方針とのことです。日本を含む26か国が参加しているのですが、更に驚嘆したのは、その調査方法です。

◆調査員が対象者宅を訪問

 首尾良く(?)調査対象者(住民基本台帳から無作為に抽出された日本国在住の16歳以上65歳以下の男女個人の5,000人を対象。未成年の対象者は保護者の同意を得た上で調査を実施予定)に選ばれた暁には、《調査員が自宅を訪問し、調査を実施する日時を調整》した上、《約束の調査実施日時に、調査員が調査対象者と1対1で調査を実施》するという内容なのです。
 当該調査において、日本では「文部科学省」と「国立教育政策研究所」が責任機関となっていますが、実際に調査対象者の自宅を訪問するのは委託された民間調査会社(調査員)となるようです。この調査が、本年8月から開始される(~2012年1月)というのですから、かなり切迫した調査だと思いませんか?

◆郵送される「依頼状」

 前述のとおり、調査対象者は無作為抽出されるのですが、皆さんの心構えはできていますか?選任されると言えば、現在の「裁判員選任」を思い出された人もいるかもしれません。裁判員の場合は、20歳以上の有権者の中から、毎年1回の抽選で裁判員候補者が選ばれ(名簿記載)、事前に「呼出状」が届くという段取りです。当該「国際成人力調査」も同様に、抽出された調査対象者宛てに事前に「依頼状(文書)」が郵送されて来ますので留意してください。ただ、個人的には「裁判員選任」の召集令状(?)を期待しているのですが。

◆抽象的な「成人力」

 当該調査において、「成人力」とは《知識をどの程度持っているかではなく、課題を見つけて考える力や、知識や情報を活用して課題を解決する力など、実社会で生きていく上での総合的な力のこと》と定義されていますが、これまで自分の「成人力」なんて考えたこともありません。所謂「ゆとり教育」崩壊後のわが国内で、少子社会故に名誉挽回すべく学校授業も再燃している中、“不安定雇用社会”に置かれた大人は各種専門資格の取得に励みつつ、民間企業等主催の各種「検定(試験)」ブームと相俟って、少なからず向学心は旺盛な傾向と見受けられます。

◆まさかの「自宅でテスト」
 ただ、前掲調査(PIAAC)は、このような単なる知識確認ではないとのことです。宅訪による「face to face」で、(1)「読解力」、(2)「数的思考力」、(3)「ITを活用した問題解決能力」の3分野と(4)「属性調査(調査員持参のPCに回答入力。筆記も可。例:学歴、職歴、収入等)」も尋ねられるという調査概要を見ると、まるで「先生の家庭訪問でテストを受けさせられる」ようで、不安感を抱いているのは私だけでしょうか。

◆“個人情報の保護”は万全に
 だって、自分の調査結果は日本代表(?)に相当し、2013年の結果公表で“国際比較(成人力)”されるのですよ。勿論、当該調査は統計的に処理されるとのことですが、調査前にこれだけは本当に厳重対応していただくようお願いしておきます。“個人情報の保護には、くれぐれも万全を期してください”と。
※PIAAC(ピアック):Programme for the International Assessment of Adult Competenciesの略称。
【資料】文部科学省国立教育政策研究所公表資料。