2017.01.10
《再掲・重要》待ったなし! 有期雇用の「2018年問題」“同一労働同一賃金でも契約社員を無期雇用されますか?” 『経済産業新報』2016年(平成28年)11月1日号・第1面
◆2千万人の労働環境が激変する 同一労働同一賃金でも契約社員を無期雇用されますか?
『改正労働契約法』の施行により、有期雇用の労働者が5年を超えて反復更新にて本人の申出により、無期雇用となるのです。これが、有期雇用の労働者の「無期転換ルール(5年ルール)」です。その最初の5年目の期日が2018年4月1日にあたる為、“有期雇用の2018年問題”と言われているのです。
そして、有期雇用の労働者の「無期雇用」を推進したい厚生労働省は、全国の企業を対象に「無期転換ルール」に関する説明会を開催して、無期雇用化を後押ししています。また、「働き方改革実現会議」においては、政府が推進する「同一労働同一賃金」の議論も進められている為、企業は、無期雇用の決断に躊躇しているのが現状です。
また、この「同一労働同一賃金」は、とりわけ、「非正規労働者の賃金水準を対正社員の8割にまで引き上げる」のを目標とし、年内に「ガイドライン」を策定する前提で議論しています。そして、これに関わる『労働契約法』のみならず、『労働者派遣法』、『パートタイム労働法』の3法一括改正が政府の望む方針である為、「無期雇用」の問題は「同一労働同一賃金」の問題なくして語れないのです。
実際、企業担当者は、「無期雇用のうえ同一労働同一賃金では、無期転換は難しい」とか、「同一労働同一賃金なら無期雇用は難しい」等と、「同一労働同一賃金」の問題は、正社員との賃金格差が大きい企業ほど、より大きな影響を受けるのです。その為、既に一部の大企業では、有期雇用の労働者に関して、2017年9月末、もしくは同年12月末には「雇止め」を想定しているのです。
有期雇用の労働者(非正規労働者)は、国内の労働者の約40%、2000万人とも言われており、国内の労働環境は激変することになるのです。また一方で、有期雇用の契約社員を「雇止め」するにあたり、新たな労働力確保の模索も始まってきているのです。しかし、未曽有の労働力不足(人手不足)の為、新たな有期労働者の雇用も難しいのが現実です。
従って、2018年以降は、賃金格差が大きい大企業においては、有期雇用の労働者の直接雇用はなくなり、正社員そして直接雇用の労働者に代わり、「業務請負(アウトソーシング)化」が進むことになるでしょう。そして、人材確保が困難な中小企業においては、無期雇用への転換が進み、大きく二極化することになるのです。
【寄稿者】
社団法人全国請負化推進協議会代表理事 野々垣 勝
【ご参照】
◆『経済産業新報』掲載記事(2016/11/1日号・第1面)
URL http://www.jsbb.jp/wp-content/uploads/2016/11/『経済産業新報』掲載記事20161101日号.pdf
◆株式会社経済産業新報社
URL http://kspress.biz/