2008.09.02
学生等(非労働者)の日雇い継続を(№6)
◆どうなる「労働者派遣法改正案」
福田首相の突然の辞任表明(9/1)で、臨時国会召集予定(9/12)が大幅に遅れる見通しとなり、日程の再調整後、日雇い派遣原則禁止を盛り込んだ「労働者派遣法改正案」が論議されることになります。政界と一部のマスコミを含め、“日雇い派遣原則禁止は「正」”であるとの論調ですが、果たしてそれが「正」なのか、改めて十分議論されるべきと思います。
◆非労働者は企業戦力の一部
と言うのは、日雇い派遣労働者の中には、学生や専業主婦やダブルワーカー等の非労働者が含まれていることが、忘れ去られているからです。その際に、非労働者と一般労働者の区分をすることは、容易に可能です。つまり、学生ならば「学生証」を携帯していますし、専業主婦に敢えて証明を求めるならば、各住所管轄の役所の窓口を通じて、「無収入証明書(市民税・県民税証明申請書)」を入手する(1通300円)ことも可能です。また、ダブルワーカーならば、主たる仕事で勤務する会社の「健康保険証」で本人確認は十分に可能です。そして、とりわけ、サービス業の店舗営業については、年中無休とする営業政策上からも、アルバイトによる土・日曜日の労働力は企業戦力の一部であり、非労働者にメリットがあるのみならず、一般社員の労働負荷を軽減・解消できる点で、企業にとってもメリットがあるのです。
◆短期バイトで学費補填
減速経済による不況、格差社会、物価高騰等によって国民生活は圧迫されており、家計にしわ寄せが来ています。少子社会とは言え、とくに、学生をお持ちの家庭では、生活費確保と学費負担の二重苦になっています。そうした生活の中、学生においても、長期間のアルバイトを継続することは、学業との両立の面でなかなか困難です。日雇いの原則禁止は、学業の合間の空き時間を活用する「日雇い」で、学費の足しにすることもできなくなります。日雇い派遣で学費を稼ぐ苦学生は、果たして「悪」なのでしょうか。
◆当社提言に日経・読売両社も同調
これらの事情を踏まえると、これが国民のための政治といえるでしょうか。これまで、当該「改正法案」に対しては、当社ブログ提言で異論を唱えてきましたが、(1)「日経新聞社説(7/7日付)」は、「学生・主婦・社会人等が働く理由は、働く日時を選べて便利だから(半数の意見)」という厚労省の調査結果に基づき、「禁止はこれらの人の利便性も損なう」と、そして、(2)「読売新聞社説(7/8日付)」も、「若者が結婚をし、家庭を支えていく働き方ではないが、学生や主婦には、時間に余裕があるときに仕事ができる便利さがある。」と、当社提言に同調意見を表明されました。とくに、(3)「日経社説(8/4日付)」では、「日雇い派遣の原則禁止は学生や主婦などこうした働き方を選択している人が不便になり、仕事を失う恐れがある。1日ごとの契約だけでなく30日以内はすべてダメとなると経済に与える影響も大きい。(原文のまま)」と、ダメ押しの同調をされました。
◆学生のためのアルバイト
従って、非労働者と一般労働者の区分を明確にし、非労働者のアルバイトの存在価値を明確にしていくことが重要です。なぜなら、アルバイトこそ、本来学生のためのニーズある労働形態だからです。
参考:「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書(平成20年7月28日)概要」厚生労働省職業安定局発表資料。日本経済新聞及び読売新聞記事。