2009.04.01
派遣先に求められる人材派遣会社の選択眼
◆新年度は“チェンジ”の好機
いよいよ新年度を迎え、企業や人材ビジネス会社は、今まさに“チェンジ”の時です。金融危機遭遇までは人手不足による「人員拡大」が、そして金融崩壊以降は「人員削減」と、この1年間に山頂から断崖絶壁まで転落したと言っても過言ではありません。金融崩壊以降、人材ビジネスに係る企業は、人材派遣及びアウトソーシングの「負の一面」を垣間見て、「なぜ我々の企業がバッシングされなければならないのか」という一抹の念を抱かれたのではないかと思います。08年までは、人材派遣及び請負事業で少なくとも約5万社は存在していましたが、金融崩壊した現在はその数は減少しているものと思われます。
◆“人的リスクのアウトソーシング”
世界同時不況の渦中、人材ビジネス業界を活用することは、同時にその業界会社(業者)に人材に係るリスクも委ねることになることを意味します。換言すれば、“人的リスクもアウトソーシング”していると言えます。つまり、“人的リスク”を託せる業者を選択したと断言できるか否かが問われるのです。業者選択の見極めは肝要で、すべて自己責任に帰するのです。果たして、誰もが「コスト重視には走っていなかった」と断言できるでしょうか。確かに、中小企業は大企業とは社歴は異なり、自ずと経験・ノウハウの面で差がありますが、小回りが利くというメリットを活かし、なお且つ「リスク管理」にも万全な態勢を期する必要に迫られることになります。
◆業者選択の基準は
09年10月には人材派遣の資産基準の変更実施が予定されており、ここに来て、更なる選択眼が求められることになります。今後の業者選択は、「資金力」、「労務管理力」、「経営力」が重要ポイントになってきます。とりわけ派遣会社の「資産要件」は、厚生労働省による許可制度の改正の有無を問わず重要事項です。なぜなら、人材ビジネスは「見えない負債(退職時の有給負担)」を抱えているからです。例えば、その会社が1,000人の人材派遣で1人当たり10日と仮定すると、1億円の有給負債を抱えていることになります。次に「労務管理力」ですが、これは労働組合や労災を含めた対応力です。また、「経営力」はその会社の経営・運営指針で、これがしっかりとした内容であれば小火は消せます。対応できない会社は、小火を大火事に至らせることになります。そして、その先にプラスアルファがあります。つまり、プラスアルファとは「請負化」できるとか、社員への教育訓練かできているか等です。
◆真の差別化は「負のリスク管理力」
業者選択の最大重要ポイントは、その会社を導入した時点ではなく、委託した仕事を打ち切った時に初めて当該企業がどのような対応を実行し、どのような行方を辿るかが問われることになるのです。即ち、業者には人材派遣の終了時点まで「負のリスク」が先送りされるので、いかにその時点で「負のリスク管理」ができるかがすべてと言っても過言ではありません。従って、人材ビジネス業界は、主に前掲の3要点を明確にし、企業にアピールすべきだと言えます。これがまさに「差別化」にほかありません。