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2025.07.07

「スポットワーク」利用時に事業主が押さえておくべき労務管理の基本

 近年、急な人手不足を補う手段として「スポットワーク」を活用する企業が増加しています。スポットワーカー(短時間・単発で働く労働者)との雇用契約は手軽に感じられる一方で、適切な労務管理を怠ると、思わぬトラブルや法令違反に発展する可能性もあります。
 厚生労働省がまとめた注意点をもとに、スポットワークを利用する事業主が最低限押さえておきたい労務管理のポイントは以下のとおりです。

1. 労働契約の成立と注意点
スポットワーカーと労働契約を結ぶのは、仲介業者ではなく事業主自身です。契約成立のタイミングについても、求人への応募をもって契約が成立するとみなされるケースが多くあります。
契約後に仕事をキャンセルする場合には、スポットワーカーの準備やその日の他の就労機会への影響も考慮し、合理的な理由と余裕ある対応が必要です。キャンセル規定をあらかじめ定めることも有効です。

2. 労働条件の明示は必須
労働契約が成立した場合、労働条件の明示は事業主の義務です。就業前に賃金、労働時間、勤務地等を明記した「労働条件通知書」を交付しなければ、労働基準法違反となります。
仲介アプリを通じて通知書が交付される場合でも、内容の確認責任は事業主にあります。

3. 休業時の対応
業務開始前や勤務中に事業主都合で業務が中止・早退となった場合には、休業手当の支払いが必要です。仮にその日に約束した賃金を満額支払う場合は、休業手当に代えることも可能です。

4. 労働時間の定義と管理
業務に必要な準備(制服への着替えなど)や終了後の後始末、待機時間も労働時間に該当します。求人時には始業・終業時刻を適切に設定し、勤務後は実労働時間の確認・確定を速やかに行いましょう。
また、労働者の申告内容に応じて労働時間を柔軟に修正できる体制も重要です。

5. 賃金の支払いは適正に
交通費の未払い、事前に示した賃金額の一方的な減額などは労働基準法違反となります。賃金は生活の基盤であるという意識を持ち、正確かつ速やかな支払いを心がけましょう。

6. 安全管理とハラスメント対策も不可欠
通勤・就業中の事故に備えた労災保険の対応や、安全衛生教育、ハラスメント防止策も、事業主に課せられた義務です。短期雇用であっても例外ではありません。

 スポットワークの活用は、柔軟な労働力確保の手段として有効ですが、労務管理の基本を疎かにしてはなりません。短時間の雇用であっても、事業主としての責任は通常の雇用と変わらず発生します。
 「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、今一度、制度の理解と適正な運用を徹底しましょう。

【厚生労働省】「スポットワーク」を利用する事業主の皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001512368.pdf