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2009.05.08

自宅待機を命じられた「採用内定新規学卒者」の再起への道

◆「自宅待機を命じた会社」と決別
 今春の某採用内定新規学卒者は、過日、会社から6ヶ月間の自宅待機を命じられた為、自分の将来を悩んだ挙句、自ら退職してしまったというTVニュース報道を見ました。自宅待機する本人に対して、会社から給与の40%支給が補償されていましたが、半年先の就業が保証されている訳ではなく、また、この度の経済不況による影響で当該企業の将来も鑑みた結果、本人が選択した道でした。
◆「企業の真意」はどうなのか
 実際、採用内定と同時に「自宅待機」を命じられるという厳しい現実に直面したならば、内定の喜びも束の間でどこかへ飛んで行ってしまったのではないでしょうか。本当に“ありえへん世界”です。社会人としてのスタート時点でこのような境遇に陥ってしまうのは、長い人生からすると短い期間かもしれませんが、当事者にとってみれば、深刻極まりない非常事態だと思います。当該事例のように、自宅待機を全うするか否かの決断は最終的に本人自身に委ねられますが、企業の真意は、単に「内定取消し」を避けたに止どめたのではないかと邪推できなくもありません。と言うのも、この経済不況の渦中にあるわが国内企業は厳しい経営に迫られ、「内定取消し」が社会問題として浮き彫りとなり、企業名公表制度が施行されたからです。
◆施行された「企業名公表制度」
 厚生労働省の調査結果によると、本年3月学校卒業予定者の採用内定取消し人数は「1,703人(大学生等)」※1)で、厚労省は改正職業安定法施行規則に基づく「企業名公表制度」をすでに施行(09/1/19)しており、第1回目の該当企業2社の公表(3/31)に続き、今回は13社の企業名が公表(4/30)されました。当ブログ記事には当該企業名を記載しませんが、公表対象となる具体的内容は、「内定取消し」が次の4項目のいずれかに該当する場合です。即ち、(1)2年度以上連続して行われたもの。(2)同一年度内において10名以上の者に対して行われたもの。(3)事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに行われたもの。(4)内定取消しの対象となった新規学卒者に対して、①内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき、または、②就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき、と明示しています。
◆自宅待機等は「1,023人(高校・大学生合計)」
 厚労省は企業名公表制度の実施と併せて、青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための現行指針に採用内定に関する規定(事業主が青少年の募集及び採用に当って講ずべき措置)を一部追加しました。しかし、前掲の企業名が公表された複数会社は、内定取消しの他に「自宅待機や入社日の延期」を告げており、やむなく就職時期を繰り下げられた大学生は548人(高校生を除く)も存在したのです。もし企業に「内定取消し」の公表を避ける意図が存在していたならば、当局の厳しい見極めと対応が必要と考えます。でなければ、予期せぬ自宅待機等を強いられる新規学卒内定者は救われません。
◆「新・若者挑戦塾」は6月以降順次開講
 では、内定企業から単に「自宅待機」の指示しか受けず、当該企業による研修・教育計画等の予定が無い場合等、どのように臨めばよいのか当事者は悩むことになります。当ても無く、ひたすら半年先まで時間を浪費する訳にもいきません。そこで、この6月中旬から開講される「新・若者挑戦塾」※2)の合宿型基礎力養成研修をご紹介致します。何といっても受講料は無料で、受講対象は20代から30代前半の男女で、内定取消し者や既卒の休職者等です。但し、6月の開催校は1校(東京都東大和市)限定ですが、その他に複数校(新潟県、広島県)開催も順次予定されていますので、詳細は下記URL※3)をご参照ください。
◆半年間は「自己との闘い」を覚悟
 前掲の「新・若者挑戦塾」を地理的等の事由で利用できない自宅待機の人は、自己のスキルアップをめざして自己啓発に専念するのが賢明と思います。自宅待機の半年間は有効活用できる貴重な時間があると考え、また、半年先の当該企業の存続に不安が残るようなら尚更のこと、自己の将来の岐路に立たされている訳ですから、今後の人生設計を強固なものにするためにも、より専門的な資格等の取得をめざしてじっくり勉学に勤しむ覚悟で臨んでください。必ずしも資格取得が即戦力として機能する訳ではありませんが、半年先の逞しい自分自身を確立することに繋がるものと確信します。万一、冒頭事例のように「自宅待機を命じた会社」と決別するならばそれなりの覚悟が必要であり、その場合は、より一層自己向上の努力を迫られるのは避けて通れない道と思います。「自己との闘い」に打ち勝たれることを切に祈るばかりです。
※1)大学、短期大学、専修学校等の学生。当該数値は高校生を除く。
※2)下記URLよりご参照ください。
http://www.smrj.go.jp/kikou/dbps_data/_material_/chushou/g_kikou/press/kanto/19341-090409-gasuku.pdf
参考:厚生労働省職業安定局公表資料。独立行政法人中小企業基盤整備機構公表資料。