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2009.05.25

請負要件の「業務上の独立性」について (請負シリーズ34)

◆「請負要件」を考える
 当ブログの過去記事※1)において、今後は「請負化」が加速するとの予測をしましたので、今回も「請負」について考えます。ご承知のとおり、「請負」を完成するには所謂「告示37号」の区分基準があり、請負要件としての(a)労務管理上の独立性及び(b)事業経営上の独立性のいずれも満たさなければなりませんので、前記(b)の3要件のうち、「業務上の独立性」について述べます。
◆求められるのは「業務上の独立性」
 請負の業務上の独立性については、次の2要件のいずれかに該当する場合に「請負」として認められます。要件の第1点は、(イ)《自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。》です。第2点は、(ロ)《自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。》です。
◆双務契約締結の適用範囲は
 前掲(イ)の要件を満たすには、機械、資材等が相手方から借り入れ又は購入されたものについては、別個の双務契約※2)による正当なものであることが必要です。では、半製品の部品の組み込みや塗装、完成品の梱包の業務を請負っている場合、「発注者から提供された部品、塗料、梱包材等について、一旦発注者から購入しなければならないのか」という疑問が生じます。これについては、発注者から、①半製品とそれに組み込む部品や仕上げのための塗料等を提供された上で半製品に取り付けたり、塗装したりする業務を請負っている場合、また、②完成品と梱包材を提供された上で完成品を梱包する業務を請負っている場合には、半製品と部品や塗料、完成品と梱包材に係る「購入」及び「売却」の双務契約までは必要ないとの見解(厚労省)※3)です。但し、業務に必要な機械・設備・機材を請負事業主の責任で準備するか、発注者から借り入れるまたは購入するのであれば、別個の双務契約を締結することが必要になります。
 また、前掲(ロ)については「事業主が企業体として有する技術、技能等に関するもの」とされており、「業務を処理する個々の労働者が有する技術、技能等に関するものではない」と、その具体的判断基準が示されています。
 このように、請負要件の「業務上の独立性」を確保するには、上記(イ)(ロ)のいずれかに該当することが必要であり、単に肉体的な労働力の提供に止どまるものでないことが必須要件となります。
※1)当ブログ記事(09/4/3日付):「『派遣切り』の行き着くところ」、同記事(4/10日付):「所謂『告示37号』の解釈と『請負』完成のために」ご参照。
※2)契約当事者双方に相互に対価的関係をなす法的義務を課する契約。
参考:「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)」。※3)厚生労働省職業安定局公表資料。