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2012.01.28

★大地震発生でも「免震装置」は本当に安心できるのか?

◆“可動部材の約3割が損傷”

 昨年3月の「東日本大震災」に遭遇後、早10か月以上経過しましたが、《免震建物に取り付けられた可動部材の約3割が損傷した(日本免震構造協会調査結果)》とのマスコミ報道(1/26)がありました。今から丁度2年前の当ブログ記事(下記【ご参照】)では、「長期優良住宅の耐震性」を嘆きました。そして、東日本大震災に伴って「福島第一原子力発電所(東京電力)」の爆発火災事故の勃発以降、地震と津波に対する不安に加え、新たに放射能汚染に対する国民の不安が継続する中、今度は冒頭記載の“免震性”に一抹の不安を覚えたところです。

◆「免震」とは何か

 「免震とは何か」を考えるに際し、冒頭の当該調査を実施した「一般社団法人日本免震構造協会」の資料を見ると、《免震構造は、地震動からくる破壊的な力を免震部材により柔らかく受けとめ軽減させること》と記載されており、地震の揺れに抵抗できる強固な部材、筋交い等の仕様で建物の強度を確保する「耐震構造」とは区別されています。いずれも、我々国民の《貴重な資産の形成保全を図る》ための手段のひとつですから、「耐震・免震構造」の強度や精度等の向上には、より一層大きな期待が寄せられるものと思います。

◆「免震装置」を備えた建築物

 『人事総務部ブログ』読者の皆様も、身近なオフィスビルや役所や学校等でこれらの「免震装置」を実際に見られてご存知の方も少なくないと思いますが、改めて「免震建築物」とは何かと言うと、《地面の上に免震装置がありその上に建物がのっている建築物》です。具体的にその「免震装置」には、(1)「アイソレータ」と(2)「ダンパー」があります。アイソレータは《建物を支え、地震のときに建物をゆっくりと移動させ、アイソレータだけではいつまでも続く揺れをとめることはできないので、ダンパーが抑える働きを》するという役目があるので、「ダンパー」は“制震装置”と言えます。因みに、詳細説明は割愛しますが、前者(1)の種類には、「積層ゴム」、「すべり支承(シショウ)」、「転がり支承」があり、後者(2)の種類には、「オイルダンパー」、「鋼材ダンパー」、「鉛ダンパー」があることを付記しておきます。

◆気になる「戸建住宅の損傷結果」

 冒頭の調査結果は、《全国327の免震ビル》を対象に、《免震装置の稼働状態などを尋ねた》アンケート調査で、《いずれも、揺れを抑える効果は確認され、ビルの主要部は損傷しなかった》たとのことですから、一応は安心できるとしましょう。しかし、対象ビルの90件(27.5%)で《「損傷あり」と答え、可動部が設計通り動かなかった》という事実を見逃すことはできません。と言うのも、日本免震構造協会のデータによると、免震建築棟数(1999年~2009年)は、ビルが約2,600棟、戸建住宅が約3,800棟、合計で約6,400棟が存在します。前記割合を当該ビルに単純に適用すると、損傷する可能性があるのは約715棟にも上る計算になるのです。そして、「戸建住宅の免震度合や損傷等はどうだったのか」という疑問も自ずと生じます。勿論、素人の私があれこれ進言できる立場には毛頭ありませんが、耐震も想定外の実験結果(下記【ご参照】)、免震や制震も不安と言うのでは、個人の戸建住宅の意欲は減退してしまいます。政府による「復興支援・住宅エコポイント制度」は内容を改定して継続されている中、今後は「長期優良住宅」の建設により一層拍車が掛かるものと思われますので、同協会をはじめとする専門機関の調査分析による原因究明と、「免震構造」のより一層の進化に期待するばかりです。
【ご参照】
●ブログ記事(10/1/20日付)
 :『長期優良住宅 住宅耐震実験による検証で「安心・安全の確保」を』。
資料:一般社団法人日本免震構造協会公表資料。