2014.05.08

出向契約における厚生労働省(労働局)の行政指導で“派遣法違反プラス職業安定法違反”に

◆派遣法違反・職業安定法違反に問われる「出向契約」

　ＩＴ業界において、出向契約が蔓延しています。それは、“技術者(エンジニア)不足”により、「派遣契約」や「請負契約」に絡んで、“出向契約”が増加しているのです。つまり、派遣契約の派遣労働者が、他社からの出向契約であったり、請負契約した派遣労働者が出向契約であったりしているのです。その根底には、ＩＴ業界特有の“多重化”があるのです。本来、出向契約は、“出向の４要件”に該当しなければ、行政処分の対象となるのです。そして、「派遣法違反」にプラスして「職業安定法第44条(労働者供給事業)違反」となり、厳罰に処せられることを承知しておいていただきたいのです。

◆「出向の４要件」とは

　「出向」は、出向元事業主との関係において、「在籍型出向」と「移籍型出向」の二者に分類されています。但し、前者「在籍型出向」の形態は、労働者供給に該当する為、次の4要件の目的を有することが必要です。即ち、4要件とは、(1)労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する、(2)経営指導、技術指導の実施、(3)職業能力開発の一環として行う、(4)企業グループ内の人事交流の一環として行う等、です。これに対して、後者「移籍型出向」は、出向元事業主との雇用契約関係は終了している為、労働者派遣には該当しません。