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2009.02.26

日々闘う非正規労働失業者の実態

◆外国人失業者数は約5,600人
 「厚生労働省調査結果(第3回:1/26時点)」※1)の非正規労働者削減数(08年10月~09年3月までの見通しを含む)については当ブログ記事(2/10日付)でご紹介したとおりですが、同期間における外国人失業者(失業予定を含む。以下同じ。)は、その内の約5,600人に上ると同省公表(2/6)がありました。同調査結果の非正規労働者削減数合計約12万4,802人に対し、外国人失業者数は約4.5%に当たりますが、冒頭の第3回調査結果で外国人削減数の内訳は公表されていませんので詳細は不明ですが、これまでのメディア報道を見る限りにおいて、その実態は公表数値を遥かに上回るものと思われます。
◆市役所も非正規労働失業者との玉際
 具体的に地方の現状を見ると、人口約21万人を擁する「太田市(群馬県)」が2月から実施している災害対策用の備蓄食料の提供に、外国人希望者が急増しているとの報道に目が止まりました。それによると、今月《23日までに計570人分の食料提供のうち、約7割に当たる396人分(69.5%)が外国人向け》であったとのことです。とくに、4ヶ国の外国語表記のチラシ配付後の12日間で、全体の半数以上に当たる303人(53.2%)の外国人希望者が集中したようです。備蓄食料品配付や外国語表記のチラシ活用等、非正規労働失業者との玉際である市役所では、仕事と言えばそれまでですが(あるいは年度末で備蓄品の入替時期到来が好機会となったのかもしれませんが)、この非常事態の支援活動に対しては誠にご苦労さまですと申し上げます。
◆「非常食」で生活する外国人失業者
 前記の太田市における外国人失業者が多いのは、やはり多くの自動車関連産業集積の影響と考えられますが、冒頭の厚労省調査結果で群馬県全体の非正規労働者削減数を見ると3,133人で、これは多い順で全国第13位です。従って、同削減数の多い上位5県(①愛知県20,113人、②長野県6,436人、③福島県4,911人、④神奈川県4,792人、⑤静岡県4,583人)においては、非正規労働失業者への役所職員皆様の諸対応のご苦労は何をかいわんやと推察します。因みに、太田市の食料品配付は原則2回までとのことで、一食分は約867円相当とみました。非常食とは言え、サラリーマンの昨年の昼食代平均570円※2)を上回っていますので、外国人失業者の空腹は少なからず満たされるものと推察します。
◆非正規労働失業者の実態を直視して
 前掲のとおり、非正規労働失業者数第1位で桁違いに多い「愛知県」は沖縄県からの出稼ぎ労働者も断トツ1位(59.9%:沖縄労働局調査)で、帰郷先はあっても地元に仕事が無いために愛知県に留まっている人も多数存在しているのです。昨年末発足した「年越し派遣村」の村民(非正規労働失業者)に対する“追っかけ報道”は静寂となりましたが、愛知県(名古屋市)では「派遣切り」に遭遇した村民らによる抗議集会及びデモ行進が再び実施(2/22)される等の現状で、この3月末には非正規労働者を主とする人員削減はピークを迎えるものと予測します。まさに“雇用危機の渦中”です。敢えて述べますが、麻生首相は「日本の現状は外国と比較したら大したことはない(2/8福井県遊説)」等と嘯(うそぶ)いている場合ではありません。こうした日々闘っている非正規労働失業者の実態を直視して、中長期の「雇用対策」に臨んでいただきたいものです。
※2)「GE Money 2008年サラリーマンの小遣い調査(08/6/4公表)」GEコンシューマー・ファイナンス(株)
参考:※1)「非正規労働者の雇止め等の状況について(1月報告:速報1/30発表)」厚生労働省職業安定局公表資料。上毛・中日各紙記事。