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2011.06.04

★第2弾!喫煙者に送る「世界禁煙デー」

◆「世界禁煙デー(WHO)」に臨んで

 “年に1度くらいは「禁煙」を考えてください!”。そう呼びかけられているように思うのは、毎年5月31日の「世界禁煙デー」に臨んだからです。この「世界禁煙デー」に因んだブログ記事※1)を掲載したのが約2年前ですから、昨年は失念してしまったことに、今さらながら反省しているという有様です。これでブログ読者の皆様には、私の「禁煙」に対する希薄さが垣間見られたのではないかと邪推しています。

◆今、「禁煙週間(厚労省)」です!

 世界保健機関(WHO)が制定した「世界禁煙デー」に因み、わが国内では厚生労働省により“禁煙週間:5/31(火)~6/6(月)”が設けられていますが、皆様はご存知でしたか?非喫煙者からすれば、もし世界中の喫煙者が全員「禁煙」したならば、喫煙者本人の《がんのリスク(がんになる、またはがんで死亡する危険性)》は低下することが期待され、また、受動喫煙による健康への悪影響も皆無となって、よりクリーンな生活環境に臨めるようになると理想郷を描かれているのではないかと思います。実際、昨年の“タバコ増税”を好機に、自己の「禁煙」に成功されたばかりの人も少なくなかったのではないかと推測しています。

◆喫煙者も気にしている「自己の健康」

 他方、“タバコ増税”に「大人買い(大量買い溜め)」で対抗し、めげなかった愛煙家からすれば、主張したいことは数多(アマタ)あるものと思います。一方的な代弁を試みると、「喫煙は毎日の生活リズムに組み込まれている」、「禁煙すると太るから喫煙はやめられない」、「喫煙は食後のデザート(またはタバコは食事の一環)」、「喫煙は飲酒時に不可欠なもの」等々、個人的な理屈には枚挙に遑(イトマ)がありません。そうは言っても、“タバコ増税”を機に低タールや低ニコチンのタバコに銘柄を変更したり、代替の電子タバコで水蒸気を吐き出して凌いだり等、自己の健康に配慮されている一面もあることは否定できません。

◆“喫煙は病気です”

 ただ、医師の立場からすれば、ブログ記事※1)でご紹介のとおり、《禁煙が難しい方は、必ずしも意志が弱いわけではありません。医学的には、ニコチン依存症という病気ですから、治療が必要なのです。(北村諭・南栃木病院長)》と一蹴(イッシュウ)されています。喫煙者の皆様、“喫煙は病気”ということを再認識しなければならないのです。

◆『環境中たばこ煙』とは
 「禁煙」は今や世界的潮流ですから、この流れを堰き止めることは不可能です。わが国内ではすでに『健康増進法』が施行されて数年が経過しますが、厚生労働省が《基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべき等を記した通知を発出(2010年2月)》したことからも、公共の場における環境や国民の意識も大きく変化してきたものと思います。こうして、「受動喫煙(間接喫煙、不随意喫煙とも言う)」は周知されましたが、その煙は“環境中たばこ煙(カンキョウチュウタバコエン)”と呼称(国立がん研究センター)されるようです。前記センター資料を参考に算式で表すと、『環境中たばこ煙』=(1)「主流煙(喫煙者が吐き出す煙)」+「(2)副流煙(たばこ製品の燃焼部分から出る煙)」となります。過日のTV報道で視聴した室内喫煙実験で、火がついた置きタバコの副流煙の害もさることながら、喫煙者の主流煙は、喫煙後もしばらく口から吐き出される為、室内の空気が汚染されるのが鮮明にわかりました。こうした受動喫煙で、非喫煙者の《大人や子どもの両方に、さまざまな病気や早期死亡を引き起こす(「IARC(国際がん研究機関)」等の報告書)》ことになるのです。

◆喫煙者は「喫煙リスク」の再認識を
 閑話休題、このように「禁煙」の重要性を執拗に述べるのは、自戒も含め、喫煙者に「禁煙」の重要性に改めて気づいて欲しいと考えたからです。その為には、“喫煙による現実のリスク”を直視し、再認識する必要があるのです。
 『国際がん研究機関(IARC)による「喫煙とたばこ煙※2)」に対する評価(2002年)』によれば、喫煙の影響と“因果関係がある”とされる「がん種」を列挙すると、「口腔」、「鼻腔と副鼻腔」、「中咽頭と下咽頭」、「食道」、「胃」、「肝臓」、「膵臓」、「喉頭」、「肺」、「子宮頸部」、「尿路」、「白血病(骨髄性)」の12種です。
 一方、『日本における喫煙とがん死亡についての相対リスクと人口寄与危険割合:3コホート併合解析研究(1983年~2003年)』データ結果から、“相対リスク(たばこを吸わない人を1とした指標)”の高い順に「がん種(上位3種)」を見ると、男性は(1)「喉頭(5.5)」、(2)「尿路(膀胱・腎盂・尿管):5.4」、(3)「肺(4.8)」で、女性は(1)「肺(3.9)」、(2)「子宮頸部(2.3)」、(3)「口唇・口腔・咽頭(2.0)」となっています。とくに《男性の相対リスクが女性に比べて高い》事由は、《男性のほうが喫煙本数が多く喫煙年数が長いためであると考えられ》ているからです。また、“人口寄与危険割合※3)”は、男性は、前記の相対リスクの「がん種」と全く同順位で、当該割合(%)は、各々「73」、「72」、「69」となっています。女性は、当該割合が2桁の「がん種」は2種で、相対リスクでトップの「肺(20)」に続き、「食道(12)」が挙げられます。

◆「禁煙」で自他共に幸福(健康)
 喫煙者は、ここで嘆いて諦めてはいけません。『IARCによる禁煙とリスク低下に対する評価』結果が明示されていますので、以下にご紹介します。つまり、《禁煙した人は喫煙継続者よりがんのリスクが低いとされて》おり、とりわけ男性の場合、「相対リスク」及び「人口寄与危険割合」がトップの「喉頭がん」は、《禁煙後急速にリスクが低くなり、10~15年でリスクが約60%下がります。肺がんは、禁煙後5~9年でリスクが下がり始めます。》との評価報告です。喫煙者の皆様、朗報ではありませんか!“膳は急げ”で、まず10年間で自身の体内をクリーンにしませんか?それは同時に、これまで喫煙者であったあなた自身の周囲の空気もクリーンになり、まさに“一石二鳥”です。“「禁煙」で自他共に幸福(健康)”という環境改善に直結すると考えるからに他ありません。

◆喫煙者の“相対リスクは1.6倍”
 この朗報に接しても、なお「禁煙」できない喫煙者の皆様には、『がんのリスク-放射線、ダイオキシンと生活習慣(JPHC Study)-:(独法)国立がん研究センター資料。』から、次の決定的な情報を提供します。当該資料によると、喫煙者の相対リスク(前掲)は1.6倍で、“「1000-2000mSv(1.8)」の放射線を浴びるのに匹敵する”のです。それでもあなたは喫煙を継続しますか?と言うことで、当ブログ記事も長文になってしまいましたが、結局、この執筆で喫煙本数を重ねてしまった自分自身に落胆した「世界禁煙デー」になってしまいました。
※2)「たばこ煙(エン)」:吸うことではなく、たばこの煙そのものを指す。
※3)「人口寄与危険割合」:がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合を占めるかを表す指標(%)。
※1)【ご参照】
●ブログ記事(09/7/28日付)
 :『喫煙者に送る「世界禁煙デー」の新聞広告記事』。
【資料】厚生労働省公表資料。独立行政法人国立がん研究センター公表資料。