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2011.06.11

★「浜岡原子力発電所」の再稼動を検討する前に望むこと

◆すでに全面停止した「浜岡原発」

 過日、中部電力株式会社は、菅首相の“原発運転停止の要請(5/6)”を受け、『浜岡原子力発電所』の「1・2号機(運転終了:09/1/30)」及び「3号機(定期点検中:11/5/14現在)」をはじめ、「4・5号機(停止中:11/5/14現在)」を含む“すべての運転が停止”されました。これに伴い、中部電力は既存の火力発電所の再稼動等を予定しており、今夏の管内電力の安定供給と余力拡充に万全の態勢で臨んでいます。

◆現存の「3つの事実」

 「浜岡原子力発電所」の全面停止の影響で、国内の「定期検査中」の既存原子力発電所も再稼動の先行きは不透明となっています。ただ、「浜岡原子力発電所」に関しては、以下の「3つの事実:【a】~【c】」が存在していることを再認識しておかなければならないでしょう。
【a】「浜岡原子力発電所」に“防波壁は現在未設置”で、当面は、あくまでも防波堤の役目を果たすものと考えられてきた“砂丘(10~15m)”しか存在していないという事実。
【b】「浜岡原子力発電所」が所在する隣接の町には、小規模の“活断層”が存在しているという事実。
【c】《「浜岡原子力発電所」の敷地内に断層が存在することが確認されている(中部電力)》という事実。

◆「防波壁」設置はこれから

 まず、前記【a】について、「東海地震」の発生は、「東南海地震」及び「南海地震」との連動発生を含めて予知できない為、震災に対する不安は現在進行形で続くことになります。ブログ記事(下記1)に記載のとおり、中部電力の阪口正敏副社長は、「浜岡原発」の津波対策で“2~3年後を目途に、防波壁の高さを15m以上”とする旨を大村愛知県知事に説明(4/12)したという経緯があります。しかし、「防波壁の高さを20mにしなくてもよいのか」等の再検討を含め、国民としては、一刻も早い当該「防波壁」の完成をただひたすら待つしか為す術(スベ)はありません。

◆隣町の小規模「活断層」は大丈夫か?

 次に、前記【b】については、中部電力は「浜岡原発」設置の際、《徹底した地質調査をおこない地震の原因となる活断層を避け》たとの情報をHPで公開しています。ただ、当該「活断層」は小規模ですが、「浜岡原発」所在地に隣接した町(白羽:シロワ)に存在(御前崎港の西側周辺)している事実に対し、東日本大震災に遭遇した後だからこそ、国民の一人として一抹の不安を抱いているのです。その所在位置は、ブログ記事(下記3)でご紹介した『活断層地図』をご参照いただければ、明確にご確認いただけます。

◆正体は「芹沢断層」?
 少し旧い資料で恐縮ですが、『地質ニュース594号(2004年2月):独立行政法人産業技術総合研究所活断層研究センター』を見ると、《御前崎周辺には約8万年前に形成された段丘が分布しており、その段丘上に北北東-南南西方向の複数の活断層が並行して分布して》おり、4つの活断層が明記されています。私が前記で指摘したのは、その内のひとつで、「芹沢断層」ではないかと判断しました。

◆地震余力を保有する「南海トラフ」
 前掲の資料では、各々の活断層の《長さが2km以下と短いため、これらの断層が大きな地震を起こすことはなく、東海地震や東南海地震といった海溝型地震に伴って活動するものと考えられます》と明記されています。また、同資料では、「南海トラフ」沿いで《最後のサイクル(1944年東南海地震、1946年南海地震)の推定破壊域を見ると、一番東のEの部分が破壊せずに残っていることが推測でき》、続けて、《Eの部分では地震を発生させる力がまだ蓄積して》いると分析されています。補足しますと、「Eの部分」とは、「南海トラフ」で最も本州に近く、御前崎港の東方を南北に走る海溝地域に相当するものと思われます。前記「芹沢断層」は小規模ですが、当該「活断層」の存在を改めて周知いただく共に、地震研究者や専門家の皆様には、当該「活断層」に関わる最新情報をご提供していただければ、少なからず国民の安心に繋がるのではないかと考えます。

◆“「原発」敷地内の断層”の安全性は?
 最後に、前記【c】について、中部電力は当該「原発」の設置当初より“「原発」敷地内の断層”の存在を認めており、中部電力のHP(浜岡原子力発電所の地質)を参照して、当該断層は《H断層系と呼ばれる4本の断層が海岸線にほぼ並行して存在する》ことがわかりました。そして、《H断層系は第四紀後期の活動はなく、地震を起こしたり、地震に伴い動くものではないことを確認しています》と明記されています。また、「地盤の隆起に対する安全性」についても、《東海地震に伴い、1m程度隆起することが想定されますが、(中略)敷地内には地震に伴って動くような断層は存在しません》と断言されているのです。

◆改めて“「原発」安全性の確立”を
 東日本大震災で大津波被害を受けた「福島第一原発(東京電力)」の爆発火災事故で、“放射能汚染”は現在も進行中です。“想定外”であった「大津波による非常用発電機の喪失」を教訓とするならば、素人観点からの懸念事項で恐縮ですが、まず、国民は“「原発」安全性の確立”を第一に望みます。そして、以上の「3点の事実」に対する“想定外”の不安を払拭すべく、その安全性に関わる詳細説明を改めて国民に明示していただきたいと願うところです。これが実現して初めて、「浜岡原子力発電所」は次のステップに進むべく道を選択できるのではないかと考えます。

【ご参照】
(1)ブログ記事(11/4/16日付)
 :『東海・東南海・南海地震の同時発生に「浜岡原子力発電所」は津波に耐えられるか』。
(2)ブログ記事(11/4/23日付)
 :『「浜岡原子力発電所」下の断層が“活断層”に変貌する可能性は皆無なのか』。
(3)ブログ記事(11/3/26日付)
 :「書籍ご案内 『日本の活断層地図-中部・近畿・中国・四国・九州活断層地図』」。
【資料】内閣府公表資料。中部電力株式会社公表資料。独立行政法人産業技術総合研究所公表資料。防災システム研究所公表資料。独立行政法人土木研究所公表資料。