2008.04.21
就業者を雇用形態別からみた動向
雇用者実数を雇用形態別にみると(労働力調査2007年)、雇用者5,174万人(対前年102%)のうち、正規の職員・従業員は3,441万人(対前年101%)、非正規の職員・従業員は1,732万人(対前年103%)といずれも増加していますが、非正規の職員・従業員雇用者数の比率が正規の職員・従業員雇用者数に対し50.3%を占め、直近4年間では初めて過半数を突破したのが注目されます。とくに、2003年の数値と比較すると、正規の職員・従業員雇用者数が3万人減少しているのに対し、非正規の職員・従業員雇用者数228万人増加しているのが顕著です。世間では「格差社会」の到来と騒がれていますが、この雇用形態の現象が示しているとおり、非正規の職員・従業員雇用者数が大幅に増加しているのは否めない事実です。
また、「格差」と言われる一面を探るため、同調査において、男女、雇用形態別に仕事からの年間収入階級別割合の最高占率層の年間収入金額の比較をすると、①男性の正規の職員・従業員は500~699万円(21.1%)、②男性の非正規の職員・従業員は100~199万円(29.6%)、③女性の正規の職員・従業員は200~299万円(28.6%)、④女性の非正規の職員・従業員は100万円未満(49.0%)で、正規の職員・従業員と非正規の職員・従業員の収入金額の差は、男性が400~500万円(①と②の比較)、女性が100~199万円(③と④の比較)と歴然とした差があることがみてとれます。
一方、転職者※1)は346万人(前年同数)で、男性は171万人で対前年5万人増加しているのに対し、女性は175万人で対前年5万人の減少となり、男女は相反した結果となっています。転職者を年齢階級別でみると、世相を反映し、25~34歳が102万人と最も多く、うち男女共に15~24歳の若年層の転職者比率が最も高くなっています。また、転職者のうち、雇用者の前職と現職について、非正規から正規への異動は、男性が18万人で対前年1万人減少しているのに対し、女性の同異動は22万人で対前年1万人増加しています。
こうした雇用形態別の推移を見ると、非正規の職員・従業員雇用者数の比率が近年拡大しており、前述のとおり、男性の正規の職員・従業員の年間収入金額対比では、最も大きな差(400~500万円)が生じています。また、男性の転職者が増加する中、非正規から正規への異動人数が減少する等、女性よりも男性の、とくに、非正規の職員・従業員の雇用環境は厳しい現実となっているのがわかります。
※1)就業者のうち前職のある者で、過去1年間に離職を経験した者。
参考:「労働力調査 –詳細集計 平成19年平均結果の概要–」総務省統計局。