2010.11.27
男女差が現存する“労災補償(障害等級)”に判例は反映されるか
◆“男女補償統一案”に刮目を
顔などに大きな傷跡が残った労働災害補償で、女性よりも男性が低い障害等級とする国の基準は法の下の平等を定めた憲法に違反するとした訴訟に対し、《性別による差別的な取り扱いに合理的理由はない》とした今年の「京都地裁判例(10/5/27日付)」を鑑み、国は新たに“男女の補償統一案”を示す(11/19)とのことですので、今後の方向性を刮目(カツモク)していかなければなりません。
◆現在の『障害等級表』の規定では
実際、労働者災害補償保険法施行規則の別表第一『障害等級表(平成18年4月1日施行)』を見ると、「第七級(障害等級)」の身体障害欄に「女性の外貌に著しい醜状を残すもの(12項)」と明記されています。
他方、「第十二級(前同)」の身体障害欄には、「男性の外貌に著しい醜状を残すもの(13項)」と「女性の外貌に著しい醜状を残すもの(14項)」が併記されており、男性のそれに関しては、「第十四級(前同)」にも「男性の外貌に著しい醜状を残すもの(10項)」と記されています。
労災認定は各労働基準監督署の判断によるのですが、当該『障害等級表』に基づいて認定される以上、「女性の外貌に著しい醜状を残すもの」に相当する場合、「第七等級」を優先適用されていたとしたならば、給付内容が「当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の131日分」が年金として受給できることになる為、「第十二級」の給付内容が年間賃金の半分弱(給付基礎日額の156日分)を一時金で受けるのに比し、そこには明らかに“性差”が存在することになります。
【参考】厚生労働省労働基準局公表資料。
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